工事監督・積算業務で陥りやすい罠!あるあるだけどNGなのはコレ!
この記事は以下の記事の続きです。
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発注者支援業務では「君は担当から外れなさい」と、実質クビ宣言をされることが割に多くあります。
そしてなかには、特に悪意のないケースでそのような結果となってしまうこともあるのです。
前記事では、発注者支援業務で実際にクビになった次の3つの事例をお話しました。
- ペーパー資格者
- 資格を偽造していた
- 業者に対して上から目線
今回は残り3つの事例を紹介しながら、工事監督、積算業務の人が業務上で注意したいポイントについても解説します。
目次
発注者支援業務をクビになった事例4:業者に手心を加えて金品を得ていた
4つ目は、業者に手心を加えて金品を得ていたというものです。
実際にあったのは、飲み代を立て替えてもらっていたという事例でした。
発注者支援業務は現場の検査・確認をする仕事ですが、個人によってチェックの精度や厳格さは異なります。
書類は一字一句、句読点まで確認したり、検査においても異常に細かくチェックしたりと非常に細かい人がいるのは事実です。
業者側からすれば、「お手柔らかにお願いしたい」というのが本音でしょう。
そこで、発注者支援業務のスタッフが行きつけにしていた居酒屋の飲食代を、業者側が立て替えてあげたことがすべての始まりだったそうです。
発注者支援業務側としても、たった1~2人の飲食代で、しかも毎日通っているわけでもない。
そこまで大きな金額ではないことからいつの間にかクセになり、その店へ行ったときはすべて業者側のツケにするようになってしまいました。
ときには居酒屋から夜の歓楽街での接待、帰りのタクシー代まですべて業者持ちということもあり、要はズブズブの関係になってしまったのです。
では肝心の仕事はどうなるかといえば、当然、接待をしている業者側は「わかってますよね?」という態度になりますし、発注者支援業務も強く出られないようになります。
ただ、こんなことは長続きするわけもなく、後に指摘が入ってクビとなりました。
発注者支援業務が注意すべき贈収賄問題
今回はあからさまな贈収賄の事例でした。
1番よくないパターンであり、かつ、1番よくあるパターンと言えます。
発注者支援業務はみなし公務員に分類されますが、この立場の人は公務員と同様、意図せぬ贈収賄に注意しなくてはなりません。
この問題が騒がれ出した頃は、現場でのコーヒーの差し入れを断る発注者支援業務者もいたほどです。
特に、発注者支援業務は役所側の立場ということもあって、業者側とは簡単に利害関係になれてしまいますので、気をつけましょう。
賄賂(わいろ)とは、自分の有利になるよう取り計らってもらうことを目的として贈られる不正な贈物を指します。
注意したいのは、賄賂は金品など形のあるものだけでなく、利益になること一切を指すということです。
つまり飲食店でのサービスやゴルフ接待、旅行への招待、値引き、職のあっせんなども賄賂と判断される場合があります。
こういった賄賂を受け取ったり、贈ったりすることを贈収賄と言います。
刑法では、贈収賄の種類によって7パターンの罰則を設けています。
- 単純収賄罪
- 受託収賄罪
- 事前収賄罪
- 第三者供賄罪
- 加重収賄罪
- 事後収賄罪
- あっせん収賄罪
発注者支援業務における贈収賄とは、端的に言えば「出入りの業者等から金銭や物品をもらってはいけません」ということです。
民間の建設業の場合、たとえば下請け業者が元請け業者を接待しても問題はありません。
しかし公務員が、工事会社から接待を受けるのはルール違反となります。
発注者支援業務をクビになった事例5:大手ゼネコン所長が向いていなかった
5つ目は、大手ゼネコン所長が発注者支援業務に向かなかったケースです。
これはどういうことかというと、かつての建設不況の時代には、大手のゼネコンでもリストラが行われていた影響から、現場所長が発注者支援業務に就くパターンがよくありました。
現場所長といえば、土木施工管理技士1級の資格も実務経験もきちんと伴った人材ですから、何の問題もないように思いますよね。
しかしこういった経歴の人達が、発注者支援業務でうまくいかなかったパターンは意外に多いのです。
現場所長と発注者支援業務で異なる仕事の性質
なぜ現場所長では、発注者支援業務の仕事に向かないのでしょうか。
それは、会社のトップである社長が、サラリーマンの立場で実務対応ができるかと考えてみるとわかりやすいかもしれません。
要は、大手のゼネコンで現場所長を務めていた人間が現場に来ると、どうしても”所長然”とした態度になってしまうのです。
悪く言えば上から目線が抜けず、「申し訳ないですが…」といった腰の低い対応がなかなかできない人が多くいます。
現場所長といえば、現場のトップであり、現場で指示を出す立場ですから、いわばそこからいくつかランクを落としたところで、測量をしたり、書類の確認にあたったりといった実務ができるかどうかはやはり個人差があるでしょう。
今回の事例においても、所長が業務に対応しきれず、役所側から担当を下りるよう辞令が下ったそうです。
ただ、所長自身もその旨を了解して退いたとのことですから、厳密にクビとは言えないかもしれませんね。
本人の中でも、発注者支援業務に向いていないという自覚があったのではないでしょうか。
発注者支援業務をクビになった事例6:積算の予定価格をバラした
6つ目は、積算の予定価格をバラしたというものです。
こちらは工事監督ではなく積算業務の話で、完全にクビになってしまったケースです。
積算とは、工事の価格を計算する仕事で、以前は役所の中の工務課という部署で役所の人と共に働いていました。
すると工務課で働いていた発注者支援業務の人間が、ふいに工事の予定価格を知ってしまったのです。
本来であれば、入社に参加する企業は独自に機・労・材を含めて積算を行い、この予定価格を算出して入札価格を決定します。
よって、最初から正確な予定価格がわかっていればこんなに楽なことはありません。
また、この入札においては談合が成立しており、5社のうちA社が落札する運びとなっていたそうです。
そこに加えて発注者支援業務がこのA社と癒着していたようで、予定価格をリークしてしまいました。
A社としては、ただ落札できるだけでなく、満額に近い価格で落札が成立したという非常に有利な入札となりましたが、結果的にこれがバレてクビになってしまったということです。
発注者支援業務の費用がほぼ人件費のみである一方、工事にかかる費用は機・労・材(きろうざい)で構成されます。
- 機(き)…クレーン・バックホウなどの機械経費
- 労(ろう)…職人に仕事をしてもらうための労務費
- 材(ざい)…1㎡あたりのコンクリート費はいくらか?といった材料費
情報漏洩は刑事事件級の罪
現在は、積算業務の人間が役所で作業をすることはありませんし、予定価格を見れるほどセキュリティ面も甘くありません。
よって同様の事件は再発しないものと思いますが、情報漏洩の罪は非常に重く、当時、内部では大きな騒ぎになったといいます。
このように積算業務であれば、予定価格を業者へリークする、工事監督業であれば業者と癒着するといったケースは1番古典的で、1番やってはいけない贈収賄です。
まとめ
今回は、発注者支援業務をクビになった事例を3つ取り上げました!
すべての事例をまとめると次のようになります。
- ペーパー資格者
- 資格を偽造していた
- 業者に対して上から目線
- 業者に手心を加えて金品を得ていた
- 大手ゼネコン所長が向いていなかった
- 積算の予定価格をバラした
金品に限らず、軽い気持ちで業者から受け取ったものが贈収賄にあたるケースもあります。
発注者支援業務である以上、業者との関係にはくれぐれも注意しながら、業務を進めていきましょう。
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