国交省とは違うNEXCOの管理技術者!積算と工事監督以外の業務とは
発注者支援業務と一口に言っても、発注者が違えば業務内容も違うもの。
では、国土交通省の次に工事の発注数が多いNEXCOでは、どんな業務が行われているのでしょうか。
今回は、NEXCOで管理技術者を務める奈良さんをゲストに招き、国土交通省との業務の違い、仕事の忙しさなどについて聞きました。
奈良さんの詳しいプロフィールや経歴、業務内容については”施工管理チャンネル“でも紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。
管理技術者と通常の技術者の仕事内容の違い
通常の発注者支援業務であれば、積算や工事監督業務に従事しますが、管理技術者はいわば発注者支援業務の最上位ポジションです。
では仕事内容にどんな違いがあるのかというと、実は特に大きくは変わりません。
基本的には、勤務先の業務を行いながら現場の業務を行うという形です。
ただ、NEXCOの発注者支援業務で特徴的なのは、積算と工事監督以外に、調査業務、設計業務があることです。
単純に考えて、調査・設計・積算・工事監督の4つの仕事を請け負うので、業務範囲はかなり広くなります。
特に管理技術者は管理者のポジションですから、すべての知識に精通して然るべきとされています。
日々勉強しないと、受注者と話が噛み合わなくなってしまうような事態にもなりかねません。
発注者支援業務のチームでは、仕事の指示を出す人(管理技術者)を必ず1人は配置することとされています。
なぜなら、発注者である国土交通省やNEXCOの職員は原則、発注者支援業務として働くメンバーに仕事の指示を出してはいけないからです。
法律上の指揮命令の問題から、発注者は責任者(管理技術者)にある程度のことを伝えるのみとされています。
よって、管理技術者は発注者支援業務のメンバーをまとめ上げたり、指示を出したりするために必要なリーダー的存在なのです。
1事務所が抱える案件数
事務所によって抱える案件数は大きく変わりますが、業務ごとの平均件数は次の通りです。
- 工事監督:3~4件
- 設計:1~5件
- 調査:1~4件
すべての業務を合わせると、1事務所で10~15件程度の案件を抱えることが多いと言えるでしょう。
また、”調査業務がまったくないかわりに設計業務が多い”といった特徴も事務所によってさまざまにあります。
打ち合わせは1日に2~3件程度入ることが週に何度かありますが、毎日続くことはありません。
設計・調査業務などは頻繁に打ち合せる必要がない業務だからです。
調査・設計・積算・工事監督の業務比率
調査・設計・積算・工事監督の中では、やはり工事監督業務が圧倒的に多く、9割が占めます。
その次に積算、あとは設計、調査が均等なイメージですね。
発注者支援業務チームの人数は、今で言うと私を入れて12人です。
このメンバーの中で調査、設計という風に主担当を決めて動いています。
ただ、メインはやはり工事監督業務になるため、工事に関しては主担当だけでなく皆が立ち合いに行くようにしています。
私は管理技術者なので、管理者の立場ですべての業務を見るという形です。
私もそうですが、基本的に担当技術員が多いところでは、管理技術者は個人で案件をもたない傾向にありますね。
調査・設計業務の担当者は現場に赴くのか
工事監督や積算業務と違い、調査や設計は「そもそも現場に出るの?」という風に、少しわかりづらいイメージがあるかと思います。
調査業務の場合、「指示された通りに実際やっているかどうか」といったことを現地に確認しにいくことがあります。
一方、設計は現場に出向くことは基本的にはないのですが、最初の現場案内で「今現場はこういう形です。将来的にはこういうことを考えています」という風に、設計会社にレクチャーすることはあります。
また、工事の場合は大体600メーターから1kmほどが平均的な工事区間ですが、設計は一般的に数km分行うことが多いです。
NEXCOの管理技術者になるために必要な経験年数
NEXCOの管理技術者は”3年以上の経験”でなれると理屈上は決まっていますが、私の経験上、それは難しいかと思います。
やはり少し特殊性のある業務だからです。
たとえば「積算のやり方がわからない」、「NEXCOの書類の流れがわからない」では仕事になりませんし、技術的な知識や受注者とのコミュニケーション能力も当然求められるところです。
受注者の中にはスーパーゼネコンと呼ばれる企業もいますが、そんなところの所長クラスを経験年数3年で相手にするのは難しいと思います。
早い人では経験5~6年でなれるかと思いますが、私の場合は15年ほど経験を積んで、ようやく管理技術者になりました。
NEXCOの管理技術者の平均均齢がだいたい50代半ば~それ以上ということを考えると、現在45歳の私でも若い方です。
1管理員の方でも年配の方が増えてきていますし、NEXCO全体でも高齢化の問題は顕著ですね。
まとめ
今回は、NEXCOの管理技術者として働く奈良さんから、管理技術者と技術員の違い、業務範囲、抱える案件数などを聞きました。
NEXCOでは工事監督、積算、設計、調査と4つの業務を請け負う上、管理技術者ともなればすべてを管理する必要があります。
やりがいがある一方で、なかなかハードな仕事であることがわかりました。
奈良さんが最後に触れていたように、次の記事では”高齢化が進む発注者支援業”をテーマに話を進めます。
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