発注者支援業務を受注する”建設コンサルタント”とはどんな会社?
発注者支援業務は、”建設コンサルタント”と呼ばれる会社が国土交通省やNEXCOから業務を落札して行います。
しかし「建設コンサルタントってそもそもどんな会社?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は業界初心者の方に向けて、建設コンサルタントとは何をしている会社なのか、その成り立ちを含めて説明していきたいと思います。
建設コンサルタントとは?主な業務内容
建設業界の一般的な認識として、建設コンサルタントとは、橋・道路などの土木分野の設計を行う会社=土木設計会社のことです。
詳しくは、”一般社団法人建設コンサルタンツ協会”のHPに掲載されている資料から引用してみましょう。
ここで管理・調査・企画・立案・助言という表記がありますが、”工事”についての記載はありません。
よって、主な業務はやはり工事前の”設計”と考えることができるでしょう。
建設コンサルタントの歴史と成り立ち
“一般社団法人建設コンサルタンツ協会”の資料には、建設コンサルタントの成り立ちについて次のように記載されています。
内務省は国土交通省の前身と捉えて頂いて構いません。
つまり戦前は、役所が設計から工事に至るまですべてを担っていたということですね。
高度経済成長で公共工事が活況になると、役所だけでは捌ききれなくなってきました。
そこで、民間に外注しようという流れが出始めます。
民間企業に税金を使った建設物の設計を依頼するのであれば、きちんとルールを作らなければなりません。
そこで制定されたルールが”土木事業に係る設計業務などを委託する場合の契約方式等について”です。
ポイントはこのルールの中で”設計施工分離の原則”ができたことですね。
つまり「土木は設計と施工を分離しましょう」というルールが定められたのです。
そして、これが建設コンサルタント発展の基礎となりました。
建設コンサルタント誕生のきっかけは”設計・施工分離の原則”にアリ?
なぜ土木に限って”設計・施工分離の原則”ができたのかと言うと、公共事業の大半が土木工事だからです。
つまり税金を使った工事なので、設計は建設会社、設計は設計会社と分けることで、ミスがあった際は相互にきちんとチェックし合う体制を取ったのですね。
しかしなぜこの”設計・施工分離の原則”が、建設コンサルタントの発展に繋がるのでしょうか?
たとえば、建築であれば、自社設計・自社施工という風にどちらもを一社が担うパターンが多いです。
竹中工務店や長谷工コーポレーション等、代表的な企業はすべて自社で設計・施工を行っていますよね。
“建築設計事務所”として建築設計を担う会社は確かにありますが、土木のように設計・施工分離の明確な原則はありません。
言葉を変えれば、建築工事は1社ですべてを賄えるということです。
しかし土木工事の場合は設計と施工を分離したため、施工はゼネコンが担うものの、設計は”設計を担う会社”が新たに必要となりました。
そこで土木設計業界が誕生し、建設コンサルタントの歴史も始まったという流れなのです。
おまけ:ダミコンとは
ダミコンとは、ダミーコンサルタントの略称で、ゼネコンの息がかかった設計会社のことを指します。
土木の公共事業は先述の通り、設計・施工分離が基本のため、ゼネコン側からすると話の通じる設計会社があると助かるのですね。
しかし「うち、〇〇設計会社とツーカーですよ」などと知れたら設計・施工分離の原則に反してしまいます。
そこでダミーとして用意されるのが、ダミーコンサルタントです。
昔は「〇〇設計会社はあのゼネコンのダミコンだよ」といった話がよく聞かれました。
まとめ
今回は、発注者支援業務を受注する”建設コンサルタント”を取り上げ、そもそも一体どんな会社なのか、その歴史と成り立ちも含めて紹介しました。
ポイントは次の通りです。
- 土木の公共工事を民間企業に外注する際、設計と施工を分離する必要があった
- 施行を担うのはゼネコン、設計部分を担うのが”建設コンサルタント”という位置づけで発展し、今に至っている
よって、冒頭で述べた通り、建設コンサルタント=土木の設計会社というイメージで捉えて頂ければ良いでしょう。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
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