「既済部分検査」と「完済部分検査」にて遠隔臨場が試行開始!工事監督業務のデスクワーク化が進みます
人口減少、少子高齢化の流れなどから人材不足が騒がれ、建設業界でもリモート化の流れが来ています。
今回は、「既済部分検査」と「完済部分検査」にて遠隔臨場(リモート検査)を試行予定という国土交通省の発表について解説します。
発注者支援業務で働くなら必ず知っておくべき内容ですので、ぜひご覧ください。
既済部分検査・完済部分検査も遠隔臨場(リモート検査)の対象に
遠隔臨場(リモート検査)とは現場に行かずに現場代理人などにカメラを装着し、発注者は事務所でモニター越しに確認して検査を実施することです。
国土交通省は2023年9月末時点で遠隔臨場を全国で64件、対象検査は「既済部分検査」と「完済部分検査」にて試行予定と報告しました。
実際に国土交通省は2021年度で2,700件、2022年度は3,800件実施し、すでに2022年度から段階・立会・材料確認や中間技術検査などで本格実施しています。
こうした遠隔臨場をお金の精算に関連する「既済部分検査」などで本格的に実施する可能性があるということです。
既済部分検査とは、完成前にすでに工事が完了した部分の出来高を確認するための検査です。
例えば長距離道路の建設で1年で3分の1、2年で3分の2、3年で完成とすると、1年目で完成した3分の1の部分を既済部分と呼び、そこまでの部分の支払いを行います。
完済部分検査とは、工事の完成前に契約図書であらかじめ指定された部分の工事が完成した場合に行う検査です。
例えばA地点とB地点のそれぞれで建設する際にA地点がすでに済んだ場合に支払いを行います。
遠隔臨場はWebで実施するためにネット環境がない部分では難しいため、すべての工事ではできないとは思っています。
試行してみてうまくいけば来年度から本格的に実施する方針ということですので、2024年4月1日から順次拡大していく方針ということです。
遠隔臨場での問題点は「品質・出来栄え」をモニター越しでわかるかどうか
検査はリモートで行われますが、ポイントは「現場に行かないで確認すること」で現地で主に確認することは次の3つです。
出来形 | 設計寸法通りかどうかの検査項目です。
例えば「1,000mm」の設計であるところが1,005mmなどでないかを確認します。 |
品質 | 品質が適切かどうかの検査項目です。
例えばコンクリートであればモルタルが適切に塗れているかなどを確認します。 |
出来栄え | 見栄えなどの出来栄えの検査項目です。
例えば道路をアスファルト舗装した際に凸凹していないかなどを確認します。 |
「出来形」の確認はリモートでも確認できると思いますが、「品質・出来栄え」の確認はモニター越しでは出来ないのではと思っています。
例えばコンクリートの見た目をカメラ越しで見ると光量などで映り方が悪いこともあり、色味やツヤなども実際に目で見るのと違うことが予想されます。
実際に現場へ足を運べば色だけでなくダウン検査や音による確認もできますが、こうした細かい部分がモニター越しでわかるかと思っているためです。
遠隔臨場は発注者(役所)にとっては現場までの移動時間が削減でき、業者側にとっては検査官が来ないために事前準備などの検査官対応の時間の軽減などのメリットはあります。
しかし、遠隔臨場をお金が絡む重要な検査である「既済部分検査」「完済部分検査」で実施することは大きな事故が起きないか不安を感じています。
遠隔臨場の発注者支援業務への影響とは
遠隔臨場による発注者支援業務の工事監督業務への影響として、さらにデスクワークが広がることになるでしょう。
遠隔臨場の対象となる検査は発注者支援業務の担当者が行うものではありませんが、リモート化の影響は受けます。
民間の施工管理と発注者支援業務の工事監督業務を比較すると、工事監督業務は圧倒的にデスクワークが多いためデスクワーク化が進むでしょう。
まとめ
今回は「既済部分検査」と「完済部分検査」にて遠隔臨場(リモート検査)を試行予定という国土交通省の発表について発注者支援業務への影響などを解説しました。
発注者支援業務の担当者も他人事ではなく、今後デスクワークが拡大しリモート化の影響を受ける可能性があることを認識しておくことが重要です。
発注者支援業務で働いてみたいと思う人はぜひ覚えておきましょう。
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