発注者支援業務の受注会社は実は儲かってます!落札率が高い理由とは

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この記事は以下の記事の続きです。

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入札参加は1社のみ?発注者支援業務の入札で実は多い"一社応札"とは

2023.06.10

 

発注者支援業務の受注会社は、競争入札を経て決定されます。

しかし実は、1社しか入札に参加しない”1社応札”が多く、そもそも競争になっていないという実態を前記事でお伝えしました。

今回はさらに”落札率”のデータを読み解き、落札した発注者支援業務の受注会社がどの程度の利益を得ているのか見ていきたいと思います。

発注者支援業務の職種別落札率

落札率とは、役所側の予定価格に対する落札額の割合のことです。

たとえば役所が予定価格を1億円としている案件を、受注会社が8000万円で落札したとしましょう。

すると、落札率は80%ということになります。

役所側としては、税金をあまり使いたくないのが本音ですから、落札率は低ければ低いほど良いと考えます。

一方、業者側にとっては利益が高い方がいいのですから、落札率は高ければ高いほど望ましいということなります。

では、実際の落札率はどうなっているのでしょうか?

職種別にデータを見ていきましょう。

  • 積算技術業務…93%
  • 工事監督業務…84%
  • 技術審査業務…97%

一般的に、90%以上の落札率であれば、予定価格にかなり近い金額で落札できていると考えられます。

よって、技術審査業務の97%はほぼ満額での落札と捉えていいでしょう。

いずれにしても、1社応札の影響が大きく、軒並み高い数字であることがわかります。

そして、公物管理業務の職種は次の通りです。

  • 河川巡視業務…92%
  • 河川許認可業務…97%
  • ダム管理業務…96%
  • 堰・排水機場管理業務…94%
  • 道路許認可業務…96%

公物管理業務はすべて90%以上で、平均落札率は95%と非常に高くなっていることがわかりました。

こうなると受注会社の利益率も当然、高くなりますね。

用地補償総合技術業務…86%

用地補償業務も、工事監督業務の84%を上回る落札率の高さとなっています。

発注者支援業務の落札率が高い理由

ここまでで、発注者支援業務の落札率が軒並み高い傾向にあることはわかりました。

この理由として、発注者支援業務の予定価格が先読みしやすいという点があげられるでしょう。

たとえば、工事の予定価格は機・労・材の3要素を考慮して積算しなくてはなりません。

しかし発注者支援業務の場合は労務費だけを考えればいいので、予定価格に極めて近い数字を弾くことができるのです。

役所の積算基準に従って積算すれば、1円単位でピッタリ合うということもありえます。

したがって発注者支援業務の入札は、そもそも高い落札率を狙える条件が整っていると言えるでしょう。

工事費用の構成について

発注者支援業務の費用がほぼ人件費のみである一方、工事にかかる費用は機・労・材(きろうざい)で構成されます。

  • 機(き)…クレーン・バックホウなどの機械経費
  • 労(ろう)…職人に仕事をしてもらうための労務費
  • 材(ざい)…1㎡あたりのコンクリート費はいくらか?といった材料費

つまり発注者支援業務の費用は労(ろう)のみで構成されていることになります。

発注者支援業務の落札率に対する国土交通省の総括

発注者支援業務の落札率について、国土交通省は次のように述べています。

「令和元年度契約業務は、”約6割(904件のうち553件)”で複数年契約を実施」

つまり、発注者支援業務の案件の約6割が、単年ではなく、2年以上の複数年契約をしたということです。

「単年度契約のうち65%、複数年度契約のうち61%が”1社応札”であった」

これは、発注者支援業務の3分の2ぐらいは単年度・複数年度に関わらず、1社しか入札に参加しなかったということですね。

3分の2なので、100件中67件は1社しか入札に参加しなかったことになります。

原因は明らかに人手不足でしょう。

さらに次のように続きます。

「1社応札割合が前年度より増加している状況が確認され、また、公物管理補助業務の1社応札割合については、例年同様に8割を超える結果となっている」

今回紹介した統計データは令和1年のものです。

人手不足は年々加速していますから、当然、1社応札割合や落札率についても年々増加していると見ていいでしょう。

特に、公物管理補助業務の1社応札割合は例年8割を超えており、特に高いとのことですね。

「担当技術者の資格要件緩和を実施。しかし資格要件緩和を実施しても、そもそも技術者不足により入札参加できないといった意見があり、これが1社応札の原因となっているのではないか」

先述の通り、人手不足が1社応札の原因となっていることは明白です。

しかし裏を返せば、人を抱えている発注者支援業務の受注会社は非常に強いということになります。

入札の競争相手が少ない上、高値で落札ができるからです。

そして人手不足で高利益ということは、社員の希少価値が高く、給料にも反映されやすいということですから、働く個人にとっても大きなメリットがあります。

また1社応札が多い=1社が業務を独占している状態のため、同じ場所で長く安定的に勤めることも望めるかと思います。

このように受注会社側にとってはメリットも大きい1社応札ですが、入札とは本来、競争をさせるためにあるもの。

よって役所側としては、1社応札率の高さに頭を悩ませているのが現状のようです。

まとめ

今回は、発注者支援業務の入札状況を落札率の高さから読み取り、さらに1社応札率に対する国土交通省の総括も紹介しました。

1社応札率の高さは入札の競争相手がいないこと、落札率の高さは利益の高さを示しており、発注者支援業務の受注会社がいかに好条件で契約を締結できているかわかります。

この問題はすべて人手不足に起因しているため、国土交通省以外の発注者や、工事の入札状況においても同様の問題が起きているのではないでしょうか。

建設業界の現状を知る上で、1つ参考にして頂ければ幸いです。

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