発注者支援業務の積算ってどんな仕事?入札における技術審査業務とは?

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発注者支援業務とは、発注者(公共工事を発注する人)を支援する業務です。

また公共工事の発注には次の8つのプロセスがあり、太字の5つが発注者支援業務にあたります。

  1.  調査・測量
  2.  用地確保
  3.  設計
  4.  積算
  5.  入札
  6.  施工
  7.  検査
  8.  管理

今回は、この中から積算(積算技術業務)と入札(技術審査業務)について詳しく解説します。

それぞれの仕事に興味がある方は、ぜひご覧ください!

1. 発注者支援業務の”積算業務”について

積算業務の正式名称は ”積算技術業務”です。

主な仕事は、公共工事に必要な費用を算定することです。

積算業務の具体的な仕事内容

積算業務における予算は、次の公式をもとにはじき出されます。

数量×単価=金額

シンプルな例でいうと、次のようになります。

舗装面積1,000㎡(数量)×100円(1㎡当たりの単価)=100,000円(金額)

積算では、こういった計算を繰り返して、トータルの工事費用を弾き出していきます。

単価を出すために必要な”条件”とは

数量×単価=金額の単価に関しては、公共工事では単価が標準化されているので、いちいち調べる必要はありません。

ただし単価を出す際には”条件”が必要となります。

条件とは、工事内で扱う物の”種類”のようなものです。

たとえば同じ面積を掘削するとしても、やわらかい土と、硬い土では、大変さが変わってきます。

よって”やわらかい土”という条件なら100円、”硬い土”という条件なら200円と言う風に単価が変わってくるのです。

この条件を入力すれば、単価は自然と導き出されます。

積算業務における“数量拾い”とは

積算業務においてメインになるのが、数量の部分です。

数量は設計図面から求めるのですが、この仕事のことを”数量拾い”と呼びます。

何の数量かと言うと、面積はもちろん、材料として使うコンクリートの数量や重量といったあらゆる単位のことです。

かかる人の作業量や時間などの単位も求めます。

工種の単位もあり、「掘削は㎥」「舗装は㎡」「縁石はm」とそれぞれの数量が導き出せるようになっています。

工種とは

工種とは「工事種別」の略称で、工事の種類のことです。

現在は次の16工種において体系ツリーが整備されており、工種・費目・種別・細別・規格・積算単位などが一目でわかるようになりました。

  1. ほ場整備工事
  2. PC橋工事
  3. 農地造成工事
  4. 橋梁下部工事
  5. 農道工事
  6. 機場下部工事
  7. 水路トンネル工事
  8. 地すべり防止工事
  9. 水路工事 海岸工事
  10. 河川及び排水路工事
  11. コンクリート補修工事
  12. 管水路工事 その他土木(1)工事
  13. 畑かん施設工事 その他土木(2)工事

アスファルトの舗装工事の場合だと、次のように表記されています。

工種A 工種B 種別 細別 材料種別・規格 積算単位
河川及び排水路工事 道路復旧工 アスファルト舗装工 下層路盤

情操路盤

基層

表層

数量拾いの手順

仮に、道路1km分の設計図が建設コンサルタントからあがってきたとしましょう。

この時点で、1km分の”数量”はすでに表示されています。

しかし工事を実際に発注する際は、1kmを100mないし200mなどに分割して発注することがほとんどです。

これを”ぶつ切り発注”と言います。

1kmを100mに分割するとしても、数量を単純に1/10にするわけにはいきません。

それでは実際の数量と誤差が出てしまうからです。

そこで100mの工事エリアだけを取り出して、また新たに「切土(きりど)が何㎡」「盛土(もりど)が何㎥」「残土処理がこのくらい」「地盤改良がこのぐらい」と、数量を拾ってくる必要があるのです。

この数量拾いの仕事が、積算技術業務の中ではもっとも大きな作業と言えるでしょう。

また、数量を図面に起こしていく作業を”旗上げ”と言います。

ぶつ切り発注とは

ぶつ切り発注とは、工事を分割して発注する方式のことです。

“分割発注”とも呼ばれています。

公共工事では、技術力や実績をもとに業者をランク付けし、上位の業者に工事を発注するのが一般的です。

しかし1kmの道路工事を100mに分割して発注すれば、上位の業者だけでなく、より多くの建設業者が仕事を受注できるようになります。

このように公共工事の分割発注は、中小企業者の仕事の受注確保を目的として行われている部分が多いのです。

旗上げとは

旗上げとは、図面に工種、数量、寸法、位置、材料名称などを表示したものです。

1kmの道路工事を100mに分割して発注する場合は、1km全体の設計図のうち、発注する部分以外の旗上げを抹消したり、二重線で消したりという作業が必要になります。

これを”旗上げ加工”と言います。

切土(きりど)とは

斜面や高い場所の土を削り取ることで、平らな地面を形成することを指します。

元の地盤を削って作るので、均質で硬く締まっているのが特徴です。

盛土(もりど)とは

切土(きりど)とは反対で、斜面や低い地に土を盛り上げることで、平らな地面を形成することを指します。

埋立地を造成する際にも用いられる方法です。

盛って形成された地盤なので、災害などにはやや弱いのが特徴です。

残土処理とは

地面を平らにならす造成工事を行った際に発生する余分な土のことを残土(建設発生土)と言います。

残土処理とはつまり、この残土を処理することです。

残土は処理場か保管場所に運搬しますが、現在では保管場所に残土を置いておき、盛土として再利用する方法が一般的となっています。

地盤改良とは

地盤改良とは、地盤の強度を補強することです。

工事エリアによっては地盤が弱いところもあり、そのまま建設物を建ててしまうと地盤沈下が起こったり、建物が倒壊したりという危険性があります。

よって、あらかじめ人工的な処理を加えて、地盤を強くしておく必要があるのです。

地盤改良には主に3種類の方法があります。

①表層改良工法

表層改良工法は、深さ2mほど軟弱な部分の地盤を掘り、セメント系固化材をその土に混ぜて、強固にする方法です。

②柱状改良工法

柱状改良工法は、土とセメント系固有材を混ぜて柱状の補強体を作り、それを地盤に埋め込んで強固にする方法です。

地盤改良中でも最もポピュラーな方法とされています。

③小口径鋼管杭工法

鋼製の杭を何本も打ち込み、地盤を強固にする方法です。

発注者支援業務の”積算業務”まとめ

このように、積算業務の最も大きな作業は”数量拾い”です。

国土交通省や公共機関の場合には専用システムがあるので、そちらに拾ってきた数量と条件をどんどん入力していく形ですね。

よって、積算技術業務は基本的にデスクワークになるかと思います。

2. 入札における発注者支援業務の”技術審査業務”について

次に”入札”の段階の仕事となる”技術審査業務”について解説します。

具体的な仕事内容に移る前に、まずは公共工事の入札の仕組みについてご説明します。

公共工事における”総合評価方式”とは

入札には方式がいくつかあるのですが、現在最も主流なのが”総合評価方式”です。

皆さんが入札に参加する建設業者だとして、何が良ければ競争相手に勝てると思いますか?

そう、”安さ”ですよね。

この工事をやりたい希望者が3社いて、それぞれが「9000万」「8000万」「7000万」だったら、普通は7000万の会社が落札するかと思います。

昔は入札においてそのような考えがあったのですが、さまざまな理由から「金額だけで評価するのはダメだ」という風潮になりました。

そこで、安価で工事ができるという点は評価事項として残しつつ、他にも評価事項を作ろうということでできたのが”総合評価方式”です。

その評価に大きく関わってくるのが技術提案ですね。

たとえば「コンクリートの品質を良くするためにこういうことをします」だとか「環境に配慮してこんなことをやります」だとか、そういった提案も評価基準にしようということになったのです。

すると、従来は金額だけを選定基準としていればよかったところを、総合評価方式が採用されたことで、技術提案までチェックしなければいけなくなりました。

公共工事は年間で数千~数万単位が発注され、1つの入札には4~5件の業者が参加すると言われています。

その1つ1つの業者の技術提案を受け付け、分析するとなると大変な仕事です。

そこで発注者支援業務に「技術審査業務」という項目を設けて、一連の業務をお願いしましょうということになったのです。

技術審査業務の仕事内容

業務審査業務の仕事は、発注者が総合評価方式で建設業者を決定する際の資料の確認・整理といった内容がメインなります。

こちらでは順を追って、その仕事内容を説明します。

工事発注資料の作成

公共工事の発注を行うときには、まず工事概要をアナウンスするための公告をします。

その広告文書を作らなくてはいけません。

次に、入札の際に参加者にあらかじめ知っておいてもらいたい書類(入札説明書)を作ります。

こちらには発注者から参加資格、入札が行われる日時・場所、入札方法などが書かれています。

参加者の確認・整理・分析

  • 参加者に参加資格があるのか
  • 工事担当予定の技術者は資格・実績を満たしているのか
  • 工事実績はどの程度あるのか

といった項目を確認します。

審査資料作成

技術評価を行うための分析・整理・資料作成などを行ないます。

以上が技術審査業務のおおまかな仕事です。

別記事でご紹介した”用地補償業務”と同じで、工事の施工のイメージからは離れた仕事かもしれませんね。


 

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