【発注者支援業務】国土交通省は道路より河川がオススメな理由6つ!

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発注者支援業務において、国土交通省は最大の発注量を誇る機関です。

また、国土交通省の中でも道路(国道)と河川(一級河川)が発注者支援業務のツートップとされています。

すると「道路と河川はどう違うのか?」「どちらを目指すべきかなのか?」とお悩みの方もいるでしょう。

結論から言うと、国土交通省の発注者支援業では道路より河川がオススメです。

なぜ河川の仕事がオススメなのか、実体験をベースに理由を6つ解説します。

あくまで個人的な見解ですので、こういう意見もあるということで参考にしてください。

河川がオススメな理由1: 出水期があるから

1つ目は、河川工事には”出水期”があるからです。

出水期とは6~10月までの5ヶ月間で、梅雨や台風など雨が多い時期を指します。

雨が多いと河川が増水しやすくなるため、出水期に河川工事をするのは禁止されています。

たとえば堤防の掘削中に大水が流れてくると、工事中の堤防が決壊するような危険があるからです。

では出水期はどうなるかというと、工事がないので単純にヒマになります。

河川でも出水期に関係ない工事はいくつかあるのですが、基本的には川の工事がメインのため、出水期はやることが減ります。

発注者支援業務の中でも工事監督業務の場合は、特にやることがありません。

これがいいか悪いかは人によると思いますが、出水期=閑散期と捉えると、仕事面で楽はできますね。

ちなみに出水期を差し引くと、河川工事を行えるのは秋口から翌年の5月までとなります。

ただし年度の関係から大体の工事は3月に竣工を迎えるので、河川工事は秋口~3月までの半年間がピークというイメージで良いでしょう。

したがって、契約の工期がたとえ1年だとしても、実際に工事を行う期間は半年間ということが大半ですね。

ただし、いくら出水期を避けて工事をしても、季節外れのゲリラ豪雨や鉄砲水が来ると、工事物が流されることもあります。

この点は河川の難しさとも言えるでしょう。

出水期に施工できる工種について

国土交通省では、出水期には原則として河川工事を行わないこととしていました。

しかし近年の降雨観測や気象予報技術の発達を踏まえ、あくまで適切な防災措置を講じることを前提とした上で、安全性が確保できる工種を対象に、出水期においても施工可能としています。

これにより、河川工事における施工時期の偏りを減らし、余裕を持った工期を確保したり、生産性向上および働き方改革の推進を行っています。

追加された内容は次の通りです。

追加内容

【平成29年度から可能となった内容】

  • 準備・後片付け
  • 河道掘削・浚渫(しゅんせつ)
  • 天端舗装
  • 高水敷(工事用)道路
  • 土砂運搬
  • 根固工(乱積み)

【平成30年度から可能となった内容】

  • 遮水対策(矢板)工
  • 耐震対策(矢板)工
  • 地盤改良工
  • 矢板護岸
  • 築堤盛土(嵩上げ)
  • 川裏法尻補強護岸

対象工事においても、全範囲を一度に施工せず、洪水の際に元の形状に戻すことが可能な範囲のみ施工する、その範囲の施工が終わってから次の範囲の施工に移るなど段階的な方法を採用しています。

河川がオススメな理由2: 夜勤がほぼないから

河川は道路と違い、夜勤はほぼありません。

国土交通省の道路は国道を扱うため、改修・補修をするからと言って完全に通行止めにするわけにはいきません。

すると、どうしても交通量が少なくなる夜間に工事をすることが多くなります。

発注者支援業務は施工会社の施工管理ではないので、夜間工事と言ってもすることは立会になるのですが、その立会が夜になってしまうのですね。

一方、川の工事を夜にすることはほぼありません。

完全にないとは言い切れませんが、おおよそないですね。

河川がオススメな理由3: 片側通行などの規制をしなくていいから

前項からの流れになりますが、道路では、工事のためにさまざまな規制を行う必要があります。

たとえば片側通行にしたり、車に迂回してもらったりといったことです。

また、近隣住民や警察、自治体など、多方面の調整も必要になる上、説明をしたり書類チェックをしたりと、規制によりさまざまな業務が発生します。

一方、河川にはこのような規制関連の業務がありません。

近しいもので言うと、大きな川の工事において、右側に流れていた水を左側に切り替えるといった作業はあります。

しかし、河川の場合は流れているものが水なので、道路のように車や人の流れを調整する大変さとは全く別物だと思います。

河川がオススメな理由4: ヤードを広く取れるから

ヤードを広く取れることも河川のメリットの1つです。

道路工事の場合、工事エリアとなる国道は国土交通省の物なので問題ありませんが、それ以外に材料や重機を置いたり、駐車スペースとしてヤードが必要になった場合、さまざまな制約に縛られます。

家の建つ民地に置くわけにはいきませんし、現場の近くに適当な場所がないという問題もあるからです。

その反面、河川の場合は工事エリアが川の中になり、1級河川の川の中ということで国有地の扱いになります。

すると堤防と堤防の間の区域はすべて国有地、および国土交通省の物なので、ヤードを広く取れるのですね。

ヤードが広いと結果的に仕事もやりやすくなるので、この点は大きなメリットだと思います。

もちろん河川だからと言って無限にヤードが取れるわけではありませんし、川の中の自然環境への配慮など、河川だからこそのルールもあります。

しかしその点を差し引いても、道路がヤードを確保するためにさまざまな調整を必要とするのと比べると、河川の方が圧倒的に楽はできるでしょう。

ヤードとは

ヤードとは、作業に必要な場所のことです。

“施工ヤード”とも呼ばれます。

また、資材や製品の保管場所は”ストックヤード”と呼ばれることもあります。

河川がオススメな理由5: 騒音問題が道路に比べて軽微だから

近隣の騒音問題も河川の方が少ないですね。

道路は、現場のすぐ横に住宅があったりしますし、前述の通り夜に工事を行うこともあります。

河川は、多摩川など東京の真ん中を流れる川は確かに住宅街に近いですが、やはり川の中で、しかも昼間に行う工事の騒音はさほど気にならないでしょう。

実際に住民からの苦情の数も道路の方が圧倒的に多いですね。

そういった苦情の対応や地元説明会を総合的に考えても、河川の方が労力が少なくて済むと言えます。

河川がオススメな理由6: 難しい構造物がないから

河川の工事は、土をいじることが多いです。

主に扱うのは堤防や護岸で、内容的には堤防を拡幅したり、高くしたり、ブロックを貼ったりという工事が圧倒的に多いです。

つまり、河川ではそんなに難しい構造物を扱わないということですね。

樋門や樋管、水門などもありますが、頻繁にはありません。

道路に比べれば、複雑な工事内容は少ないと言えるでしょう。

発注者支援業務は工事を行うわけではありませんが、工事を管理する立場としても、道路に比べると河川は楽な部分が多いと思います。

護岸とは

護岸とは、水の勢いから川岸や堤防を保護するために、ブロックを貼ったり、石を積んだりして守ることです。

護岸の”岸”とは河川や海と陸地が接している部分を指し、この部分を”護る”のが護岸の目的です。

堤防と少し似ているように感じますが、堤防は河川に隣接する地面に土を高く盛ることで、周辺の建物を河川から守る役割を持ちます。

樋門(ひもん)・樋管(ひかん)・水門とは

樋門・樋管・水門とは、いずれも河川や用水路、溜池に設置される水利構造物のことです。

用水の取水、内水の排除、洪水の逆流防止、潮止めなど、目的によって構造が異なります。

水門

水門は、橋のように川を跨ぐ形で設けられることが多い規模の大きな施設です。

堤防の機能も持ち合わせています。

水門には河川の分流のために設けられる分流水門や、本川の水が支川に流入するのを防ぐ制水門、海水が河川に侵入するのを防ぐ防潮水門などがありますが、1つの水門が複数の機能を持ち合わせていることが大半です。

樋門(ひもん)・樋管(ひかん)

樋門・樋管は、堤防の中に通されたコンクリートの水路で、逆流防止用のゲートが付いたものです。

見た目は水門に似ていますが、規模はやや小さめで、堤防の中に埋設されていることが水門と大きく異なる点です。

堤防の中に埋め込まれた水の流れるトンネルと考えればイメージしやすいでしょう。

樋門・樋管は、通常時は水路から川へ水が流れています。

しかし川が増水したときには、水位が上がり、川の水が水路へ流れ込んできます。

そこで水路のゲートを閉めて水の流入を防ぎ、住宅側の浸水被害を防ぐことが樋門と樋管の役割です。

川の水位が低くなり、流入の心配がなくなれば再びゲートを開け、水路に溜まった水を川へ流していきます。

樋門と樋管に明確な違いはありませんが、一般的に、丸い管状で比較的小さいものを樋管、箱型等の構造で規模の大きなものを樋門と呼びます。

まとめ│国土交通省の発注者支援業務は河川がやりやすい!

今回は発注者支援業務で河川がオススメな理由を5つ紹介しました。

内容は次の通りです。

  1. 出水期があるから
  2. 夜勤がほぼないから
  3. 片側通行などの規制をしなくていいから
  4. ヤードを広く取れるから
  5. 騒音問題が道路に比べて軽微だから
  6. 難しい構造物がないから

今回紹介した内容は、あくまで私の実体験をもとにした個人的見解です。

しかし実際に、道路から河川へ来た人は「楽だな」と感じることが多く、河川から道路へ移った人は「大変…」と感じることが多いようです。

また、私がかつて勤めていた会社は、「道路には夜勤や規制など大変なことが多いから」という理由で、決して道路には手を出しませんでした。

「河川の方が働く社員も楽だろう」というのが社長の考えだったようです。

どちらが良いという話ではなく、河川と道路にはこういった違いがあるというところで、参考になればと思います。


 

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