施工体制調査業務とは具体的に何をする?書類と現場標識のチェックポイント

公共工事では、元請業者が施工体制台帳を作り、発注者に提出します。
その台帳の内容と現場の実態が合っているかを、発注者側で確かめるのが施工体制調査業務です。
では、施工体制調査業務の担当者は、具体的にどこを見ているのでしょうか?
国土交通省の「施工体制台帳の写しのチェックポイント」を見ると、仕事は次の5つ。
- 施工体制台帳の事前確認
- 現場での標識等の確認
- 現場での施工体制台帳等の確認
- 現場での監理技術者等の配置状況の確認
- 現場での下請業者の使用状況の確認
そこで本記事では、5つのうち仕事の入口にあたる2つを解説します。
- 施工体制台帳の事前確認で見る6つのポイント
- 現場での標識関係の確認で見る4つの掲示
施工体制調査業務は、書類と現場の掲示から、丸投げや無許可業者への発注を見つけ出す仕事です。
つまり、各チェック項目が何を防ぐためのものかを知る必要があります。
発注者支援業務で施工体制調査業務に関わりたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
施工体制調査業務①:施工体制台帳の事前確認

施工体制台帳の事前確認とは、元請業者が提出した施工体制台帳を、現場に行く前に書類の上でチェックする仕事です。
確認するポイントは、主に次の6つです。
- 必要事項が書き込まれているか
- 添付書類が揃っているか
- 元請の直営施工の範囲が明確か
- 上請け・横受けの可能性がないか
- JV工事の場合、各社の施工範囲が明確か
- 無許可業者に500万円以上の工事を請け負わせていないか
施工体制台帳の事前確認ポイント①:必要事項が書き込まれているか
必要事項で特に見るのは、元請と下請の契約の部分。
施工体制台帳は、元請の下に下請が連なる体制を示す書類だからです。
ちなみに施工体制台帳については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
施工体制台帳の事前確認ポイント②:添付書類が揃っているか
施工体制台帳そのものだけでなく、添付書類も確認が必要です。
すべての階層の請負契約書と再下請負通知書が揃っているかを、添付書類で確かめます。
例えば、一次下請がさらに二次下請に工事を出す場合、一次と二次の間の書類も必要です。
元請から1次へ発注。
1次下請がさらに2次下請に発注する場合は、再下請負通知書が必要です。
施工体制台帳の事前確認ポイント③:元請の直営施工の範囲が明確か
直営施工とは、元請が下請に出さず、自社のメンバーで施工する部分を指します。
契約書などから「ここまでは自社、ここからは下請」と読み取れないと、調査する側はチェックできません。
施工体制台帳の事前確認ポイント④:上請け・横受けの可能性がないか
上請け・横受けとは、要するに丸投げです。
例えば1億円で受けた工事のうち、2,000万円を手元に残し、8,000万円で下請に全部任せるようなケースです。
このとき丸投げを引き受けられるのは、元請と同じくらいか、元請より大きい会社に限られます。
そのため、チェックポイントには次の項目があります。
下請に地元以外の建設業者(元請が地元の場合)又は、元請負人よりも資本金の多い下請負人がいないか。同規模同業者が下請にいないか
元請と下請の規模を比べれば、丸投げかどうかはある程度見えてくるでしょう。
自社よりずっと小さな会社に、工事をまるごと任せるのは難しいからです。
施工体制台帳の事前確認ポイント⑤:JV工事の場合、各社の施工範囲が明確か
JV工事とは、他社と共同で受注する工事です。
この場合、A社とB社がそれぞれどこを施工するのか、範囲が明確になっているかを確認します。
施工体制台帳の事前確認ポイント⑥:無許可業者に500万円以上の工事を請け負わせていないか
建設業許可のない業者は、1件500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)の工事しか請け負えません。
契約金額や書類上の施工範囲から、その基準を超えていないかを確かめます。
施工体制調査業務②:現場での標識関係の確認

書類の確認が終わると、次は現場に足を運びます。
現場での標識関係の確認では、法令で決められた掲示が正しく行われているかをチェックしなくてはなりません。
- 施工体系図
- 建設業許可の標識
- 建退共(建設業退職金共済制度)の標識と証紙の配布状況
- 労災保険関係の掲示
施工体系図は、工事関係者だけでなく、一般の人からも見やすい場所に掲示する必要があります。
どのチームが工事を担っているかを、外に向けてオープンにするためです。
チェックポイントでは、見やすい場所を次のように示しています。
公衆が見やすい場所とは、工事現場の道路に面した場所など
表の道路に面した現場なのに、人がほとんど通らない裏通り側に貼っていれば、指摘の対象になるでしょう。
建設業許可の標識は、工事現場でよく見かける「建設業の許可票」のことです。
元請に限らず、建設業許可を持つすべての業者が掲示しているかを確かめます。
建退共は、国が設けた職人の退職金制度です。
国土交通省の工事であれば、基本的に建退共の対象現場。
「建設業退職金共済制度適用事業主工事現場標識」が貼られているかを見ます。

職人が働いた日数に応じて証紙を貼り、退職金として積み立てる仕組みです。
必要に応じて、証紙の配布状況も確認。
現在はデジタル化が進んでいます。
また労災保険関係の掲示では、保険関係が成立した年月日や労働保険番号が掲示されているかを確かめます。
建設業では1つの現場が1つの事業所として扱われるため、現場ごとに掲示が必要です。
まとめ:施工体制調査業務は、書類と現場の掲示から丸投げを防ぐ仕事
施工体制調査業務の仕事のうち、施工体制台帳の事前確認と、現場での標識関係の確認を紹介しました。
事前確認では、契約書や再下請負通知書などから、丸投げや無許可業者への発注がないかを確かめます。
現場では、施工体系図や許可票、建退共、労災保険の掲示が正しいかのチェックが必要です。
どちらも、チェック項目が何を防ぐためのものかを知っていれば、見るべき場所が分かります。
残る3つの仕事は、現場で施工体制台帳や技術者の配置、下請業者の使用状況を確かめる内容です。
書類で見た体制が、現場の実態と合っているかを確かめる段階にあたるでしょう。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。









