【発注者支援業務】会社選びの注意点!工事監督なのに積算も行うケースとは?
この記事は以下の記事の続きです。
前の記事を読んでいない方は、こちらの記事もご覧ください。
発注者支援業務側の仕事を探している方に向けて、会社選びで失敗しないための注意点を6つ解説しています。
- 企業の強み・弱みを知っておく
- 受注予定というキーワードには要注意
- 発注者の特性を事前にリサーチする
- 実務経験に繋がらない発注者支援業務に注意
- 市町村では、担当外業務を行う可能性が高いことを知っておく
- 積算と工事監督支援が分けられているか要チェック
前記事で『1. 企業の強み・弱みを知っておく』『2. 受注予定というキーワードには要注意』『3. 発注者の特性を事前にリサーチする』『4. 実務経験に繋がらない発注者支援業務に注意』はすでに解説しましたので、今回は『5. 市町村では、担当外業務を行う可能性が高いことを知っておく』から再開します。
目次
会社選びの注意点5: 発注者が市町村では、担当外業務を行う可能性が高いことを知っておく
発注者支援業務の発注者が市町村の場合、担当以外の仕事をやることになったり、仕事が増えたりする可能性があります。
こちらの裏付けとして、土木公務員として働くカミノさんのブログから少し引用します。
市町村レベルでは設計部署と監督部署は分かれていませんし、小さい自治体なら用地取得から施工・検査、維持管理まで、1つの部署が担当していたりします。
市町村によっては工事監督支援業務として発注したのに、積算技術業務までしてもらったりしていると思います。
例えば、手が空いてるときに発注図面や数量表を作成してもらったり、ご厚意で仕事をしてもらってるわけです。
『カミノブログ』より引用
本来であれば公共工事には8段階の仕事があり、段階ごとに発注者支援業務があります。
たとえば国土交通省では、積算業務と工事監督支援業務で業務・部署・職員もすべてはっきり分かれているのが通常です。
ところがブログの引用通り、市町村などの規模の小さな自治体では働く人が少ないため、たとえ工事監督支援業務の担当であっても「積算も手伝ってもらえませんか?」と頼まれるケースがあります。
これは発注者支援業務にとって「あるある」で、高確率で発生すると考えて良いでしょう。
会社選びの際にこの点をあらかじめ精査することは難しいかと思いますが、発注者によってこのような場合があると1つ覚えておいてください。
用地取得とは
用地取得とは、公共工事を行うための用地を段取りすることです。
公共工事を行う場所によっては、個人の土地や建物が建っていることがあります。
その際は、交渉をして土地を譲ってもらったり、補償金を支払って建物を移転してもらったりという必要性が出てきます。
発注者支援業務では、この工程にかかわる業務を”用地補償総合技術業務”として請け負い、スムーズな用地の取得に努めています。
用地補償総合技術業務の主な業務は次の通りです。
現地踏査
用地確保の業務では、まず工事対象エリアの現地に行って視察を行います。
関係権利者の特定
対象エリアが元から国の土地であれば問題ないのですが、民間の土地だったり建物があったりすることも当然あります。
よって、関係権利者の特定とは「対象エリアには〇〇さんの家と、△△さんの家がある」という風にチェックをする仕事です。
補償額算定書の照合
対象エリアに人がいる場合、立ち退きをお願いする必要があります。
そこで立ち退きに際する補償額が算定されてくるので、その確認をするのが”補償額算定書の照合”という仕事です。
補償金明細表の作成
補償金の金額を示す明細表を作る仕事です。
補償金にはいくつかの項目があり、権利者によって項目ごとの金額は異なります。
人家から立ち退いてもらう場合の補償項目は大きく次の3つです。
①動産移転料
住居や家財を移転させる際に必要な費用のことで、引っ越し費用と捉えていいでしょう。
庭木の1本の移転費まで細かく算定します。
②借家人補償金
これまでの家賃と転居先の家賃に差額が発生した場合に充当してもらうことを目的とした補償金です。
現在暮らしている住居と同レベルの建物に移転してもらえるよう考慮しています。
③移転雑費
移転先の物件を探す際の諸経費や、契約にかかる費用、物権探し・契約のために休業しなくてはならない場合の補償金などが含まれます。
用地交渉用資料の作成
現場対象エリアに人が住んでいた場合、全員がすんなりと立ち退いてくれるわけではありません。
工事の目的や概要を説明し、交渉をする必要があります。
その際に使用する資料を作る仕事です。
また用地補償業務には、次のような仕事もあります。
- 契約の内容説明
- 契約書の交付・説明及び内諾の取り付け
作成した資料をもとに補償額を提示し、交渉、契約を取りつけるということですね。
工事における8段階の仕事とは
公共工事の発注には次の8段階のプロセスがあります。
- 調査・測量
- 用地確保
- 設計
- 積算
- 入札
- 施工
- 検査
- 管理
また、このうち太字になっている5つが、発注者支援業務が発生するものです。
それぞれの担当業務は次のように呼ばれています。
- 用地補償総合技術業務(用地確保)
- 積算技術業務(積算)
- 技術審査業務(入札)
- 工事次監督支援業務(検査・管理)
会社選びの注意点6: 積算と工事監督支援が分けられているか要チェック
前パートにも繋がる話ですが、最も代表的な仕事である工事監督支援と積算がきちんと分けられているかどうかは確認すべきです。
たとえば国土交通省なら2つの業務はしっかりと分けられていますが、NEXCOの場合は1人が両方を担うものとされています。
なぜこの点を確認すべきかと言うと、工事監督支援と積算の兼業は非常に大変だからです。
特に20~30代前半の若い人は、民間の建設会社で施工管理の経験を積み、土木施工管理技士の資格を取って、発注者支援業務に入るパターンが多いかと思います。
そうすると、実行予算を始めとした、工事にまつわるお金の取り扱い経験がないまま、発注者支援業務に携わることになります。
積算とは平たく言えば、工事にかかるお金を算定する仕事です。
よって、未経験で積算を工事監督支援と兼業するとなると、かなり苦労します。
最悪の場合は、先輩や上司からきちんと教えてもらうことすらできず、放り投げられるケースもあります。
逆に、民間会社でコスト・予算などの取り扱い経験が多少でもあるならそこまで心配しなくて良いでしょう。
したがって、工事監督支援と積算がきちんとセパレートされているのか、兼業が前提とされているのかはきちんと確認しておきましょう。
まとめ│発注者支援業務の会社選びにベストな方法とは
今回は発注者支援業務の会社を探す際の注意点をテーマに、6つのポイントを2記事にわたって解説しました。
6つのポイントは次の通りです。
- 企業の強み・弱みを知っておく
- 受注予定というキーワードには要注意
- 発注者の特性を事前にリサーチする
- 実務経験に繋がらない発注者支援業務に注意
- 市町村では、担当外業務を行う可能性が高いことを知っておく
- 積算と工事監督支援が分けられているか要チェック
会社選びに100%の正解はありませんが、少なくともこの6つについてはあらかじめ頭に入れておいた方が賢明です。
しかし、ここまでを読んで「発注者支援業務の良い会社選びって難しそう…」「発注者支援業務の転職うまくできるかな…」と不安になった方もいるでしょう。
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