私はこれで発注者支援業務をクビになりました!実際にあった事例6選
発注者支援業務はお役所の仕事ということもあり、クビというイメージはないかもしれません。
しかし、発注者支援業務で「君は担当から外れなさい」と辞令が下ることは、割に多くあります。
そこで今回は、実際にあった”発注者支援業務をクビになった事例”をお話します!
目次
発注者支援業務をクビになった事例1:ペーパー資格者
1つ目は、ペーパー資格者です。
例えば車の免許を取ったものの、その後全然運転しない人をペーパードライバーと言いますよね。
ペーパー資格者も同じで、要は、発注者支援業務に必要な土木施工管理士の1級・2級を持っているが、実務経験がない人のことを指します。
昔は所属会社が判を押せば、実務経験はそれでOKとされ、経歴も今ほど精査されていませんでした。
よって、ペーパー資格者は珍しい存在ではなかったのです。
「新卒で入って、設計一筋30年です!」という人の名刺に、”土木施工管理技士級1級”と記載されている、なんてこともありました。
なぜこれがおかしいのかと言えば、設計一筋なら、土木施工管理技士1級に必要な実務を経験する期間はなかったはずだからです。
ペーパー資格者は本人も辛いもの
過去の建設不況の時代は、建設コンサルの仕事が激減したことで、職にあぶれた営業マン達がたくさんいました。
そういう人達でも、土木施工管理技士は持っています。
そこで、とある人が発注者支援業務の工事監督業務に入ってきました。
ただ、当然ながら元営業マンが資格を持っているからと言って、発注者支援業務の仕事はできません。
本質的な部分がわからないため、ミーティングや打ち合わせがあっても一言も喋りませんし、専門用語、技術的な話も全く理解できません。
ではどうなったかと言えば、この事例では、本人が「実は私、ペーパーなんです」とカミングアウトしました。
要は1級は持っているけれど、ペーパーだから相応の扱いをしてほしいと言いたかったのですね。
しかし、これは立派な資格偽造です。
よって、本人は発注者支援業務から外されることになりました。
今からすると驚いてしまいますが、ペーパー資格者が多かった昔は珍しくない事例でした。
土木施工管理技士とは、施工技師管理士国家資格の1つです。
発注者支援業務だけでなく、工事現場における主任技術者や監理技術者になるためにも必須の資格で、1級・2級ともにそれぞれ第1次検定・第2次検定と2度の試験が行われます。
第1次検定合格時は”〇級施工管理技士補”になり、第2次検定に合格すると”〇級施工管理技士”となります。
土木系資格の中で最もポピュラーで、取りやすい資格です。
現状、学歴や指定学科によって、実務経験年数は1年~11.5年まで細かく指定されていますが、現在は資格制度の改定にあたって、実務経験年素が短縮化される流れとなっています。
発注者支援業務をクビになった事例2:資格を偽造していた
2つ目は、資格の偽造です。
1つ目のペーパー資格者は、曲がりなりにも資格は取得していました。
しかし今回は、資格を持っていないのに「持っている」と言ってしまったパターンです。
今の資格証は、写真入りでチェックも容易になっていると思いますが、かつて協会・弘済会が発注者支援業務を独占していたような時代は、なんと資格証の写しがあればOKとされていました。
つまり今回は、その資格証を偽造した人の事例です。
偽造の内容は、他人の氏名が印字された部分に、自分の名前を貼ってコピーするといったものでした。
これもまた昔は珍しくないケースで、実際に無資格のまま何年も仕事をしている人もいました。
しかし、資格は偽造したものの、仕事は問題なくできていたとしたら、一体なぜバレたのでしょうか?
答えは内部告発です。
社内の誰かから「あの人、ホントは無資格です」とリークされて、実際に調べたところで偽造だとバレてしまいました。
役所としても無資格者を働かすわけにはいきませんから、完全にクビです。
資格偽造が横行していた理由
補足しておくと、資格偽造は会社側が先導してやっていた部分も大いにありました。
本人は無資格ですと言っているにも関わらず、「コピーを変えるだけで、1級有資格者として通るんだよ?」とそそのかしていたのですね。
無資格者の中には、ただ資格を取得していないだけで、実務は問題なくこなせる人が多くいました。
よって、会社側としてはいち早く現場へ発注者支援業務の人間を出せるようにと、コピーを促していたのでしょう。
実際にあらゆる会社で無資格者は在籍していましたし、もし全員を出入り禁止・取引停止にしていたら、非常に大きな騒ぎになっていただろうと思います。
建設弘済会は、昭和30~40年頃、建設事業の円滑な推進に資し、国土開発の発展に寄与することを目的として全国各地で設立された社団法人です。
建設省のOBでほぼ構成されており、関東エリア等、各エリアの発注者支援業務をほぼすべて独占しており、防災活動支援や環境活動・地域づくり活動支援なども行っていました。
しかし、各地方整備局における公共事業費の拡大や業務量の増大を踏まえ、平成18年頃から一定の業務をアウトソーシングする取り組みが開始されました。
すると総合評価落札方式の実施や市場化テストの実施により民間受注が促進され、各建設弘済会への発注額は年々減少し、結果的に建設弘済会は発注者支援業務からの完全撤退を余儀なくされました。
発注者支援業務をクビになった事例3:業者に対して上から目線
3つ目は、業者に対しての上から目線です。
発注者支援業務はみなし公務員であり、公務員然とした仕事です。
よって、名だたるスーパーゼネコンの所長から「○○さんどうも!」とご挨拶を頂くこともあります。
また、今は公務員倫理規定により厳しくなっていますが、かつては、冬は必ず温かいコーヒー、夏は冷たいジュースといった差し入れが必ず出ていました。
現場の方から、非常に謙遜した態度で「すみませんが、ご確認を…」と書類を持ってこられることもあります。
するとどうなるか。
どうしても自分が偉くなったように勘違いしてしまうのです。
発注者支援業務なら注意すべき業者への態度
今回は、その天狗状態がエスカレートしてしまった事例です。
具体的になったきっかけは配筋確認でした。
通常、配筋のピッチは多少のズレが生じても仕方がないものです。
しかし当の発注者支援業務の人は、ダメだと言い張り、段取りが完了している生コンクリートを急にストップさせてしまいました。
そんな事態が続いたことで、現場代理人はすっかり疲弊し、精神疾患で休業に。
さらに、次に担当となった人間にも発注者支援業務の態度は変わらず、さすがに会社側が声を上げる事態となったのです。
当時、ある程度の規模の建設会社は、国土交通省のOBを顧問として雇っていました。
そこで、会社側がOBに詳細を話し、OBから役所側に伝えてもらうことで、役所側が全容を把握。
役所側も「そこまでヒドイのか…」と愕然とし、件の発注者支援業務の人間を除籍処分としました。
こちらは実質上のクビですね。
この人に関しては、配筋確認の以前から度を過ぎたような言動がたびたび確認されていたようです。
みなし公務員とは、”正式な公務員ではないが、公共的なサービスに従事する人”のことです。
発注者支援業務は役所の仕事を支援するので、公務員と思われがちですが、実際はこの“みなし公務員”という位置づけになります。
ちなみに、みなし公務員は”準公務員”とも呼ばれ、発注者支援業務に限らず、次のような職種も該当するとされています。
- 日本郵便株式会社の従業員
- 日本銀行の役職員
- 駐車監視員
- 指定弁護士
- 国立大学法人の職員
- 技能検定委員
- 軽自動車検査協会の役職員
- 自動車検査員
- 日本弁護士連合会の会長
- 日本年金機構の役職員
- 国民年金基金
- 厚生年金基金
- 企業年金連合会の役職員
- など
配筋とは、工事にあたって鉄筋コンクリートを配置すること、鉄筋コンクリートを組み立てることを指します。
現場では「柱の配筋をする」といった使われ方をします。
配筋を行う際は、等間隔で鉄筋を割りつけていくのですが、この間隔をピッチといいます。
ピッチは記号と数字で表現され、”D10@200”と書いてあれば、「直径10mmの鉄筋を200mmの間隔で配筋する」という意味です。
つまり発注者支援業務が行う配筋のピッチ確認とは、鉄筋が指示通りの間隔で配置されているかを確認する作業のことです。
まとめ
今回は、発注者支援業務をクビになった事例を3つ取り上げました!
時代背景が異なることもあり、今では驚くような事例も数々ありましたね。
しかし、3つ目の『上から目線』については、たとえ今あってもおかしくないようなケースです。
発注者支援業務である以上、現場の方へは常に襟を正して接するように注意しましょう。
次の記事では、残り3つの事例を紹介します!
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