発注者支援業務に向いている人とは?5つの業務別に紹介します!

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発注者支援業務には工事監督支援や積算、河川巡視などさまざまな業務があります。

そのため「どの業務が自分に合っているのかわからない…」とお悩みの人も多いでしょう。

そこで今回は、国土交通省を例に次の5つの発注者支援業務を取り上げ、それぞれがどんな人に向いているかをお話します。

  1. 工事監督支援
  2. 積算
  3. 資料作成
  4. 許認可
  5. 河川巡視

各業務の特徴についても解説していますので、発注者支援業務への理解を深めたい人もぜひご覧ください!

1. 工事監督支援業務に向いている人

発注者支援業務に入ってくる人で平均的に多いのは、30〜35歳で1級土木施工管理技士の資格を持っている人です。

既に結婚しており、小さな子供がいることもよく見られる共通点です。

施工管理も既に10年以上経験があるような人が多く、国土交通省でCランク程度の工事に携わったり、中小規模の建設会社で現場代理人を務めたりしている人もいます。

Cランク:一般土木工事はA~Dランクにランク分けしており、工事規模などに応じて競争参加資格として設定

国土交通省や農林水産省の工事で現場代理人や監理技術者を経験し、発注者支援業務の仕事内容を理解している人も多くいます。

現場では、主に現場代理人や監理技術者が発注者支援業務の人の対応をするからです。

まとめると、発注者支援業務に入ってくる人に多く共通しているのは次の3点です。

  • 30~35歳
  • 既婚者、子持ち
  • 1級土木施工管理技士の資格保有者、施工管理をある程度経験している

そしてこれらの点に当てはまる人こそが、工事監督支援業務に向いている人になります。

理由は2つあります。

工事監督支援業務に向いている理由①

1つ目は、発注者支援業務がライフワークバランスの点で優れているからです。

30~35歳という年齢や既婚者であることを考えると、プライベートの時間を重視する傾向が強くなります。

しかし民間の仕事は残業や休日の面が改善傾向にあるとは言え、まだまだ朝は早く、夜は遅いところが多いです。

すると、仕事がある日は子供の寝顔しか見れなかったり、唯一の休日も疲れが溜まっていてどこにも出かけられなかったりします。

一方、発注者支援業務ではこれらの問題がすべてカバーできます。

残業はあったとしても月30間程度で収まりますし、土日はそもそも閉庁日なので休日も確保できます。

仕事内容も現場のハードワークではなく、デスクワークが多めなので、体の負担も少ないです。

実際に、ワークライフバランスを考慮して発注者支援業務に入ってくる人は多いです。

工事監督支援業務に向いている理由②

2つ目の理由は、30~35歳くらいが発注者支援業務の適齢期だからです。

土木施工管理技士1級の資格は20代半ばでも取れます。

しかし、そこから10年くらいは経験を積んだ方が発注者支援業務について理解しやすい上に、工事監督支援業務も行えます。

以上の理由から、ある程度の経験を伴った有資格者で、今後ライフワークバランスを重視していきたい方は工事監督支援業務に向いていると言えるでしょう。

1級土木施工管理技士とは

土木施工管理技士は発注者支援業務でおおむね必須とされる資格で、2級と1級に分かれています。

1級土木施工管理技士を取得すると、経営事項審査制度の技術力評価において、2級土木施工管理技士よりも高い点数を獲得できるなど、施工技術の指導的技術者としてより高い評価が受けられます。

また、指定建設業(土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業、舗装工事業・造園工事業)に係る特定建設業者においては、営業所ごとに専任の技術者、建設工事の現場に監理技術者を配置する必要がありますが、当該技術者には1級土木施工管理技士の取得が必須とされています。

経営事項制度とは

経営事項審査とは、公共工事を請け負う際に企業が必ず受けなければならない審査です。

発注者は入札に参加する業者を選定する際、資格審査を行いますが、この際に審査項目として用いられるのが”客観的事項”と”発注者別評価”の2つです。

この”客観的事項”にあたる審査が、経営事項審査となります。

一般土木工事のランク分けとは

企業が前述の経営事項審査を受けると、会社規模や資本力、技術力に応じてランク付け(格付け)されます。

このランクに応じて受注できる工事金額が決定されるため、次から自分のランクに応じた公共工事の競争入札へ参加することになります。

本文中にあった通り、国土交通省の一般土木ではA~Dランクの4種類に分かれており、各々の予定価格は次の通りです。

  • Aランク…7億2,000万円以上
  • Bランク…7億2,000万円まで
  • Cランク…3億円まで
  • Dランク…6,000万円まで

ランク分けには、会社規模・技術力と工事規模のバランスを考慮する意図があります。

現場代理人とは

現場代理人とは、建設業法上定められている用語で、実質は現場所長のことです。

現場所長とは、現場で施工管理をしている現場監督達のトップであり、その現場の責任者のことを指します。

つまり現場で”所長”と呼ばれている人が、書類上に自身の身分を記載するときは”現場代理人”になるということです。

現場所長および現場代理人は、“監理技術者”や”統括安全衛生責任者”と兼務する場合も多いです。

監理技術者とは

監理技術者とは、建築業法(以下記載)に基づき現場に配置される技術者を指します。

建設業法第26条第2項
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額が、第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者で、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。

監理技術者の主な仕事は、施工計画の作成、品質管理、その他技術上の管理および作業者の指導監督です。

設計図通りに施工が行われているかチェックすると共に、図面では伝わらない細かな内容を現場に伝えるという役割も担っているため、監理技術者になるにはしかるべき資格を取得しなければなりません。

なお、管理技術者と区別するため、監理は”サラカン”(”監”に皿の字が付いていることから)、管理は”タケカン”(”管”に竹の字が付いていることから)と呼ばれます。

2. 積算業務に向いている人

積算業務は国土交通省の例で言うと、道路や堤防を作る際に、工事費用を算出する仕事です。

これ以外にも積算は、特記仕様書と呼ばれる図面の補足をするような文面を作成したり、図面に旗上げを施し、発注部分だけにフォーカスした図面に作り替えたりもします。

このように、積算は工事発注において肝になる部分なので、かなりのスキルアップが期待できます。

よって、若い方で技術力やリテラシーを向上させたい人に向いている業務と言えるでしょう。

特に公共工事の積算は、発注者支援業務でしか経験できないので、若い人が能力を高めるにはもってこいだと思います。

積算は土木施工管理技士2級でチャレンジできる点もポイントの1つです。

さらに、積算は会社に仕事を持ち帰って業務を行う”持ち帰り”のパターンが多いため、直属の先輩や上司から直に指導をしてもらいやすい業務と言えます。

もし自身の勤務先が1から人材を育ててくれる環境ならば、無資格であっても積算に携われる可能性もあるでしょう。

特記仕様書とは

特記仕様書とは、工事物の品質を確保するために、工法や使用機材など、施工の技術面や細かい部分について記載した書類です。

工事の内容説明や注意事項など、標準的な項目を記載した”標準仕様書”とは異なり、特記仕様書には図面に記載できないような詳しい情報まで記載されます。

特記仕様書の主な内容は次の5つです。

  1. 工事の目的
  2. 工事の範囲
  3. 工事の工程
  4. 事前協議の概要
  5. その他工事に関する詳細など、重要度の高い情報

旗上げとは

旗上げとは、図面に工種、数量、寸法、位置、材料名称などを表示したものです。

1kmの道路工事を100mに分割して発注する場合は、1km全体の設計図のうち、発注する部分以外の旗上げを抹消したり、二重線で消したりという作業が必要になります。

これを”旗上げ加工”と言い、この作業を通じて発注図面を作成していきます。

3. 資料作成業務に向いている人

資料作成はその名の通り資料を作成する業務で、完全に内勤の仕事です。

国土交通省の発注者支援業務では、勤務先として事務所とその出先機関である出張所がありますが、資料作成業務は事務所の方で行います。

事務所は工事発注を始め、さまざまなことが行われている基幹となる場所です。

そこで仕事をするということはつまり、国土交通省が今後、管轄エリア内で行う施策などについて知る機会が多いということです。

実際、地元説明会の資料を作ったり、今後の計画についての説明資料を作ったりもします。

よって、資料作成は国の新しい施策や計画に積極的に触れたい人に向いている仕事と言えます。

ただし、発注者支援業務には”守秘義務”があるので、口外は控えましょう。

また完全内勤なので、現場に出たくない人や、女性にも向いていると思います。

実際に女性で資料作成業務として配属されている人は多くいます。

ちなみに、資料作成業務も土木施工管理技士2級でチャレンジできます。

国土交通省の事務所・出張所について

国土交通省には”本省”と呼ばれる本店と、各地域の支店とも言える”地方整備局”があります。

その各地方整備局には次の8種類の事務所があります。

  1. 河川
  2. 砂防
  3. ダム
  4. 道路
  5. 技術
  6. 公園
  7. 営繕
  8. 港湾・空港

このうち最も数が多いのは河川と道路です。

国土交通省の発注者支援業務が主に担当するのもこの2つです。

また、事務所の出先機関として出張所もあり、こちらは1つの事務所にたいして平均3~5つの出張所があると言われています。

発注者支援業務の守秘義務について

発注者支援業務は仕事柄”みなし公務員”に該当します。

よって、公務員と同等とまではいかなくとも、ある程度公務員に準じた規制を課されています。

この規制の元となる法律が”競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(公共サービス改革法)”です。

守秘義務については次の通り定められています。

守秘義務規定は、対象となる公共サービスの実施に従事する者が、公共サービス
の実施に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用することを禁止するもので、違反
した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。

4. 許認可業務に向いている人

許認可業務は河川と道路がありますが、道路の方が圧倒的にボリュームが多いので、今回はほぼ道路許認可の話になります。

許認可業務は現場を確認することもありますが、基本的には内勤の仕事です。

道路許認可業務の仕事は、簡潔に言うと、申請者から提出された書類が道路法の要件に当てはまっているか確認をすることです。

土木施工のような技術力よりも、法務系の知識が必要とされます。

したがって、許認可業務は大学で法務を学んでいて、かつ法務が好きな人に向いていると言えます。

発注者支援業務に施工管理のイメージがあると、許認可業務は全く異なる雰囲気の仕事になりますが、法務系の仕事をしたい人にはピッタリだと思います。

また道路許認可では、主要スタッフは原則、土木施工管理技士2級の資格が必要ですが、数年前に「スタッフに有資格者が複数人いる場合、1人は無資格でいい」というルールができました。

このように無資格の枠を設けたということは、許認可業務の人を増やしていきたいという意図があってのことだと思います。

そういう意味では広く門戸が拓かれていますので、無資格の人や、若い人にも向いている業務と言えます。

5. 河川巡視業務に向いている人

国土交通省の河川巡視業務は平たく言うと、江戸川や利根川など、一級河川の堤防をバイクないし車でパトロールする仕事です。

こちらは土木施工管理技士2級が必要となります。

河川巡視業務に向いている人は、これまで土木の仕事をやってきて、現場管理・施工管理・現場監督・ゼネコンの所長などを経験し、定年になった人です。

そういった経験者は土木施工管理技士1級を持っていることが多いので、資格面では何の問題もありません。

また、河川巡視業務は一定の決まったルートを巡視していく仕事なので、年配の方がするには良い仕事だと思います。

パトロールとは言え、平時はほとんど残業もないので身体的な負担も少ないです。

実際に河川巡視業務に就いている方は年配の方が多い印象があります。

裏を返せば、前述の積算業務のように若い人が技術力向上を目指して行う業務ではないかと思います。

一級河川とは

一級河川とは、国土保全上または国民経済上で特に重要な水系のうち、国土交通大臣が指定した河川のことです。

生活や経済へ深く関わるため、河川法によって管理されており、その数は約14,000本と言われています。

まとめ│発注者支援業務に向いているのはこんな人

今回は発注者支援業務の業務別に向いている人の特徴を紹介しました。

まとめると次の通りです。

  1. 工事監督支援に向いている人…30~35歳で資格と経験のある人
  2. 積算に向いている人…技術力やリテラシーを向上させたい若い世代の人
  3. 資料作成に向いている人…国の施策や取り組みに触れたい人・内勤を好む人・女性
  4. 許認可に向いている人…法務系の仕事をしたい人
  5. 河川巡視に向いている人…土木系の経験を積んできて定年を迎えた人

それぞれの仕事に特色があるように、各業務に向いている人の特徴もさまざまです。

この記事を参考に、自分のしたい発注者支援業務と方向性がマッチしているかどうかチェックしてみてください。


 

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