【2022年最新】発注者支援業務の令和4年度からの変更点を紹介!

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国土交通省の地方整備局では、毎年12月頃に来年度の変更点・方針を発表する説明会を行っています。

そこで、令和4年度(2022年4月1日~)から発注者支援業務でいくつかの変更点があることがわかりました。

今回は、関東地方整備局で行われた説明会の資料をもとに、令和4年度からの発注者支援業務の変更点や、国土交通省が推進している取り組みなどを解説します!

令和4年度からの変更点1: 1級技士補も従事可能になる

2021年より施工管理技士の資格において、”技士補”が新設されました。

したがって、1級土木施工管理技士補の保有者は、令和4年度より発注者支援業務の一定の業務に従事できるようになります。

新しく資格ができたのですから、当然と言えば当然かもしれませんね。

ただし、2級土木施工管理技士補は資格を取得しても業務に従事できません。

技士補はそもそも学科(第一次検定)のみの試験である上、2級は高校生でも取得可能なので、実務面でのメリットは特になしとなっています。

土木施工管理技士・技士補の資格について

土木施工管理技士とは、施工技師管理士国家資格の1つです。

発注者支援業務にとって最も身近で、比較的取りやすい資格と言われています。

工事現場における主任技術者や監理技術者になるためにも必須の資格で、1級・2級ともにそれぞれ第1次検定(学科)・第2次検定(実地)と2度の試験が行われます。

従来は、第1次検定と第2次検定の両方に合格しなければ施工管理技士の資格を取得できませんでした。

しかし令和3年度より、第1次検定に合格した時点で”1(2)級技士補”の称号を得られるようになりました。

これにより、主任技術者要件を満たす1級施工管理技士補を”監理技術者補佐”として現場に専任で配置すれば、元請の監理技術者は2つの現場を兼任可能となります。

このように技術検定制度の見直しを行うことで、より多くの人材が活躍できるフィールドを増やし、建設業界における担い手不足の問題解決を目指しています。

土木施工管理技士の各級の試験内容は次の通りです。

2級

2級は一般建設業の土木工事で”主任技術者”として施工計画を作成し、工程管理・安全管理など、施工に必要な技術上の管理などを行います。

試験では”土木”・”鋼構造物塗装”・”薬液注入”の3つの種別から選択します。

#1:土木

試験区分 試験科目 内容
第1次検定(マークシート式) 土木工学等 土木一式工事の施工に必要な土木・電気・機械工学および建築学に関する知識、設計図書を正確に読むための知識
施工管理法 土木工事の施工計画の作成方法及び工程・品質・安全管理など、管理方法に関する知識・能力
法規 建設工事の施工に必要な知識
第2次検定(記述式) 施工管理法 土質試験や土木材料の強度等の試験を正確に行うことができるか。試験結果に基づき、工事の目的物に必要な強度を得るための措置を行うことができるか。設計図書に基づいて工事現場の施工計画を適切に作成・実施できるか。高度の応用能力・知識を測る

#2:鋼構造物塗装

試験区分 試験科目 内容
第1次検定(マークシート式) 土木工学等 土木一式工事の施工に必要な土木・電気・機械工学および建築学に関する知識、設計図書を正確に読むための知識
鋼構造物塗装施工管理法 土木工事のうち、鋼構造物塗装にかかる工事の施工計画の作成方法及び工程・品質・安全管理など、管理方法に関する知識・能力
法規 建設工事の施工に必要な法令に関する知識
第2次検定(記述式) 鋼構造物塗装施工管理法 鋼構造物塗装にかかる土木材料の特性を正確に把握することができるか。鋼構造物の防錆など、工事の目的に必要な措置を行うことができるか。設計図書に基づいて土木一式工事のうち、鋼構造物塗装にかかる工事の施工計画を適切に作成・実施できるか。高度の応用能力・知識を測る

#3:薬液注入

試験区分 試験科目 内容
第1次検定(マークシート式) 土木工学等 土木一式工事の施工に必要な土木・電気・機械工学および建築学に関する知識、設計図書を正確に読むための知識
薬液注入施工管理法 土木工事のうち、薬液注入にかかる工事の施工計画の作成方法及び工程・品質・安全管理など、管理方法に関する知識・能力
法規 建設工事の施工に必要な法令に関する知識
第2次検定(記述式) 薬液注入施工管理法 薬液注入にかかる土木材料の特性を正確に把握することができるか。地盤の強化など、工事の目的に必要な措置を行うことができるか。設計図書に基づいて土木一式工事のうち、薬液注入にかかる工事の施工計画を適切に作成。実施できるか。高度の応用能力・知識を測る

1級

1級は特定建設業の土木工事において”主任技術者”または”監理技術者”として施工計画を作成し、現場における工程管理・安全管理など工事施工に必要な技術上の管理などを行います。

試験区分 試験科目 内容
第1次検定(マークシート式) 土木工学等 土木工事の施工に必要な土木・電気・機械工学及び建築学に関する一般的な知識・設計図書に関する一般的な知識
施工管理法 土木一式工事の施工計画の作成方法及び工程・品質・安全管理など、工事の施工の管理方法に関する一般的な知識
法規 建設工事の施工に必要な法令に関する知識
 

第2次検定(記述式)

施工管理法 土質試験や土木材料の強度等の試験を正確に行うことができるか。試験結果に基づき、工事の目的物に必要な強度を得るための措置を行うことができるか。設計図書に基づいて工事現場の施工計画を適切に作成・実施できるか。高度の応用能力・知識を測る

令和4年度からの変更点2: みなし公務員ではなくなる

発注者支援業務は公共サービス改革法に準ずる”みなし公務員”でしたが、令和4年度より、この枠がなくなります。

資料より引用します。

令和4年度より発注者支援業務が”市場化テスト”から外れ、公共サービス改革法におけるみなし公務員の規定である第〇〇条が適用されなくなるので、令和4年4月1日以降、新規契約する業務の管理技術者等についてはみなし公務員ではなくなる。

市場化テスト:国や自治体が運営してきた公共サービスを民間事業者が担う制度

要するに発注者支援業務はこれまで市場化テストの対象で、市場化テストの対象=みなし公務員という理屈だったのですね。

しかし今回から発注者支援業務が市場化テストの対象から外れたので、みなし公務員でなくなったという話です。

ただし現在契約済みの案件で、2年や3年など複数年契約の場合は、令和4年4月1日をまたいでも、ひきつづきみなし公務員として扱われます。

これは個人的な見解ですが、発注者支援業務はみなし公務員になるか・ならないかに関わらず、公務員然とした倫理観は持っておいた方がいいと思います。

発注者支援業務では過去に”施工業者に手心を加えた”として事件になったケースもありました。

みなし公務員から外れても、このようにタブーとなるルール、業務内容は今後も変わりません。

よって、発注者支援業務としての意識や、仕事に対する姿勢はそのままでいた方がいいと思います。

みなし公務員とは

みなし公務員とは、一言で表すと”正式な公務員ではないが、公共的なサービスに従事する人”のことです。

”準公務員”とも呼ばれます。

発注者支援業務は役所の仕事を支援するので、公務員と思われがちですが、実際はこのみなし公務員の位置づけになります。

ちなみに、みなし公務員は発注者支援業務に限らず、次のような職種も該当します。

  • 日本郵便株式会社の従業員
  • 日本銀行の役職員
  • 駐車監視員
  • 指定弁護士
  • 国立大学法人の職員
  • 技能検定委員
  • 軽自動車検査協会の役職員
  • 自動車検査員
  • 日本弁護士連合会の会長
  • 日本年金機構の役職員
  • 国民年金基金
  • 厚生年金基金
  • 企業年金連合会の役職員

など

令和4年度からの変更点3: ウィークリースタンスが実施される

これは変更点と言うよりも、国土交通省が推進している取り組み、業務環境改善(ウィークリースタンス)についての話です。

ウィークリースタンス(業務環境改善)とは、働き方改革の活動の一環のことです。

資料では”令和3年度以降に契約した全ての業務が対象となる”とされています。

“ウィークリースタンス”はいわば取り組みの総称で、具体的な項目としては次のようなものがあります。

  • マンデー・ノーピリオド
  • ウェンズデー・ホーム
  • フライデー・ノーリクエスト
  • ランチタイム・オーバーファイブノーミーティング
  • イブニング・ノーリクエスト

では、国土交通省がこれらの取り組みを通じてどのように業務改善を進めているのか、内容を具体的に解説します。

マンデー・ノーピリオド

マンデー・ノーピリオドは“月曜日を仕事の期限日としない”ということです。

「月曜日までにこの仕事をやっといて」となると、土日に仕事をするしかなくなりますよね。

よって、それはダメですよということです。

マンデー(月曜)をピリオド(期限)にしてはダメということで”マンデー・ノーピリオド”ですね。

ウェンズデー・ホーム

ウェンズデー・ホームはタイトルの通りですが、“水曜日は定時の帰宅を心がける”ということです。

要するにノー残業デーですね。

フライデー・ノーリクエスト

フライデー・ノーリクエストは、“土・日に休暇が取れるように、金曜日には仕事を依頼しない”ということです。

皆さんも金曜日に仕事を頼まれると、週明けには「できた?」と言われそうな気がしませんか?

すると必然、土日のうちに済ませなければと感じてしまうので、金曜日は仕事を依頼してはいけませんよということになっています。

ランチタイム・オーバーファイブ・ノーミーティング

ランチタイム・オーバーファイブ・ノーミーティングは、”昼休みや、17時以降に打ち合わせをしない”ということです。

よって、昼休みはきちんと昼食を取る時間として確保されなければいけません。

国土交通省は終業時刻が17時15分や17時30分なので、この理屈でいくと夕礼もしてはいけないということになりますね。

イブニング・ノーリクエスト

イブニング・ノーリクエストは、”定時間際や定時後に依頼・打ち合わせをしない”ということです。

定時が17時の場合、16時50分や17時10分に仕事を頼んだり、打ち合わせをしてはいけませんということになります。

以上のような取り組みを国土交通省は”ウィークリースタンス”として取りまとめ、推進しています。

つまりウィークリースタンスとは、「月曜日には〇〇しない」「火曜日には〇〇しない」という風にウィークリーでルールを決め、そのルールに沿ったスタンスで働きましょうということですね。

ウィークリースタンスのその他の取り組み

国土交通省では、前述した5つの取り組みを原則実施するものとし、その他の項目についても積極的に取り組むものとしています。

その他の項目は次の2つです。

  • 金曜日も定時の帰宅を心掛ける
  • その他、任意で設定する取組(受発注者で合意した事項)

ウィークリースタンスの実施にあたっては、あらかじめ受発注者間で取り組み内容を確認し、合意した内容を業務環境改善様式に記録、さらに打ち合わせ記録簿に添付することとされています。

ウィークリースタンスの注意点

また、ウィークリースタンスについては資料内に注意書きもありました。

やむを得ず、受注者に業務指示を行う場合には、監督職員から主任技術者もしくは調査職員から管理技術者に対して作業内容とその理由を明確に指示する。

難しく書いてありますが、要するに次の流れで仕事を指示する際の注意点です。

  • 発注者→発注者支援業務への指示
  • 発注者支援業務→施工業者への指示
  • 発注者→施工業者への指示

いずれの立場においても、原則、ウィークリースタンスに反する指示を行ってはいけません。

しかし、やむをえず指示を出す場合には「これは安全面において急を要することだ。土日にかかってしまって申し訳ないけど、月曜日には完成させてくれ」と、依頼に至った理由を明確に説明する必要があるということです。

また、同制度の普及度をチェックするために”実施結果のフォローアップ”も指示されています。

受注者は業務完了後2週間以内に取組項目の実施結果を記録した業務改善様式実施状況報告を提出する

なお、ウィークリースタンスはたとえ実施できなくても罰則があるわけではありません。

ウィークリースタンスの今後

建設業界は一般的に労働環境がハード、ブラックというイメージを持たれており、働き手不足の問題に拍車をかけている現状があります。

よって、発注者側で率先して業務環境改善に取り組むべく、ウィークリースタンスの制度が生まれました。

もちろんこの取り組みが全てクリアできれば素晴らしいのですが、工事にはイレギュラーなことが付き物なので、今後きちんと普及されるのかはまだ明らかではありません。

まとめ│令和4年度から発注者支援業務ではいくつか変更点がある

今回は”令和4年度からの発注者支援業務の変更点”をテーマに、新しく取り入れられる制度や、国土交通省が推進しているウィークリースタンスについて解説しました。

令和4年度からの発注者支援業務の変更点をまとめると次の通りです。

  1. 1級技士補も発注者支援業務の一定業務に従事可能になった
  2. 発注者支援業務は”みなし公務員”ではなくなる
  3. ウィークリースタンス(業務環境改善)が実施される

特にウィークリースタンスは、労働環境にダイレクトに関わることなので、今現在、発注者支援業務として働いている方も、これから目指したい方も注目度大のポイントではないでしょうか。

本記事を参考に、発注者支援業務の新制度・変更点について理解して頂ければ幸いです。


 

この記事の内容は以下の動画で解説しています。

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