ストレスは?人間関係は?民間から発注者支援業務に移って感じたこと

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民間から発注者支援業務に移って感じたこと、明確に変わったことをからだ編、ストレス編、仕事編に分けて、10個紹介しています。

  1. 朝が楽になった
  2. 太った
  3. 飲む機会が減った
  4. 腰痛が改善した
  5. 対人関係が楽になった
  6. 利害関係がなくなってストレスが軽減
  7.  “金”と”工期”からの開放感
  8.  標準仕様書を読むようになった
  9. 立場を勘違いするときがある
  10.  国土交通省の職員の大変さが理解できる

前記事では『4. 腰痛が改善した』まで紹介しましたので、今回は『5. 対人関係が楽になった』から解説します!

変化5(ストレス編): 対人関係が楽になった

民間で施工管理をしていると、さまざまな人の対応をしなくてはいけません。

たとえば下請けの業者や出入りの購買の人達、警備会社、近隣住民などです。

建築の場合は特に関わる人の数が多いでしょう。

一方、発注者支援業務は確認・検査をする立場なので、現場で関わるのは主に現場代理人や監理技術者のみです。

現場代理人・監理技術者とは

現場代理人とは、現場で施工管理をしている現場監督達のトップであり、その現場の責任者のことを指します。

現場代理人は、建設業法上定められている用語で、実質は現場所長と呼ばれることも多いです。

一方、監理技術者とは、建築業法に基づき現場に配置される技術者を指します。

監理技術者の主な仕事は、施工計画の作成、品質管理、その他技術上の管理および作業者の指導監督です。

発注者支援業務が現場で主に関わるのは、このような現場を監督する側の立場の人ということになります。

近隣住民への対応はたまに発生しますが、下請けの業者や職人さん、出入りの業者の対応は基本的にありません。

役所に戻った後は、国土交通省だったら出張所長か係長、あとは一緒にやってる発注者支援業務メンバーと話すくらいでしょう。

出張所には許認可やパトロールなど、他の業務を行っている人達もいますが、仕事上の接点はほぼありません。

よって、民間の施工管理と比べると圧倒的に対人関係が少なく、人間関係のストレスがなくなるという変化があげられます。

変化6(ストレス編): 利害関係がなくなってストレスが軽減

利害関係とは、要するにお金の話のことです。

民間の会社は基本的に利益を追求しなければいけません。

すると、下請けさんとのお金の折衝は当然のこと、測量を外部へ頼む際や材料を頼む際にも、お金の話は付いて回ります。

利益追求のためには、コスト面を考慮して下請けや購買業者を選定する必要があるからです。

ところが、発注者支援業務は基本的にお金と関係がありません。

発注者支援業務が見るポイントは利益ではなく、工期内に指示通りのプロセスを経て、求められる品質のものができたかという点だからです。

よって、お金の事情に関わることがないため、その分のストレスが軽減されます。

実際に「お金の事情に追われるのがイヤだから」という理由で、民間から発注者支援業務に移った人も一定数います。

変化7(ストレス編): “金”と”工期”からの開放感

発注者支援業者になると「儲けなければいけない」「工期までにあれもこれも終わらせなければいけない」というプレッシャーから解放されます。

発注者支援業務の人たちが工期に一切タッチしないわけではありませんし、工事遅延が発生すれば管理不足との指摘は受けるでしょう。

しかし、あくまで工期遅れの最終的な責任は民間業者が負うべきものとされています。

また、期限は建設業にとって最重要であるため、民間における期限厳守のプレッシャーは、発注者支援業務のそれとは比べものにならないと言えます。

変化8(仕事編): 標準仕様書を読むようになった

仕様書とはそもそも工事を行うにあたって、 図面では指示がしづらい工法や材料、注意点などの項目をテキストで記載したものです。

また仕様書には、標準仕様書と特記仕様書の2種類があります。

特記仕様書とは、工事ごとに設定される仕様書のことです。

たとえばAという工事があったら、

  • A工事は土曜日の作業も可能
  • A工事の材料は次のものを使用すること

など、A工事に特化した内容が記載されます。

一方、標準仕様書とは、指定の期間内であれば、どの工事にも共通する仕様書のことです。

標準仕様書は各都道府県・官庁などによって設けられており、国土交通省なら国土交通省、千葉県なら千葉県の標準仕様書があります。

内容例としては、次のようなものです。

  • コンクリート打設時のバイブレーターは、垂直に突き刺し、横移動してはいけない
  • 型枠は〇〇日経過後は外さないといけない

このようにどんな工事にも共通する事項が記載されているのが標準仕様書です。

しかしこの標準仕様書は、民間の施工業者ではあまり読まれていません。

現場では工期内かつ予算内で竣工することが最優先とされ、日々の現場の進捗状況に追われがちなので、目を通す余裕がないとも言えます。

一方、発注者支援業務は予算や工期をそこまで意識することはなく、日々現場を動かしたり、段取りするわけではありません。

仕事としては、プロセスやルールがきちんと遵守されているか、技術的な部分を見ることが多くなります。

また、検査・確認をする上では、基準および根拠を知っておく必要があります。

そのような仕事柄、発注者支援業務になってから標準仕様書をじっくり読むようになったという人は多いです。

コンクリートバイブレーターとは

コンクリートバイブレーターとは、まだ柔らかい状態の生コンクリートに差し込んで使う、振動を与えるための機械です。

現場に運び込まれた時点のコンクリートには大小さまざまの気泡が含まれています。

コンクリートバイブレータを使うと、この余分な気泡を逃がすことができる上、コンクリートの骨材となる砂や砂利をより馴染ませ、コンクリートの強度を高めることができます。

変化9(仕事編): 立場を勘違いするときがある

発注者支援業務は、国土交通省やNEXCOなど、発注者の立場で業務を行います。

よって施工業者側も、発注者支援業務をお役人として対応します。

近年は特に、役所の職員よりも発注者支援業務のスタッフが検査や確認をする頻度が高いので、施工業者側は発注者支援業務をより丁重に扱います。

「この人は発注者支援業務だから」と分けて見るようなことはしないのですね。

すると、今まで施工業者側だった人が検査する側になり、まして丁重に扱われることになるので、なんとなく偉くなったと勘違いしてしまいます。

たとえ注意していても、日々同様のことが続くと、少し気を抜いたときに尊大な態度を取ってしまいやすくなるのです。

こちらは良くない傾向として、注意すべきポイントでもあるでしょう。

変化10(仕事編): 国土交通省の職員の大変さが理解できる

民間の業者側にいると、国土交通省の職員に対し”偉そうなお役人”というイメージを持っている人が多いかと思います。

自身の工事に対して検査を行なったり、設計変更の際に協議を行わなければいけないのはすべて国土交通省の職員だからです。

しかし発注者支援業務に入り、国土交通省の職員の仕事振りを目の当たりにすると、率直に「大変だな…」と感じるようになります。

その理由の1つが、国土交通省の人手不足問題です。

NEXCOは株式会社のため、人材募集もフレキシブルに行えますが、国土交通省は役所のため、途中採用や求人広告を通じた募集などが行えません。

また、発注者支援業務の場合は、工事監督支援業務なら工事の管理、積算だったら積算のように、職種によって業務範囲は限られています。

しかし、国土交通省の職員の人達はすべてをトータルで管理しなければなりません。

発注者支援業務になると国土交通省の多忙さを間近で感じることになり、仕事の苦労が理解できるようになります。

設計変更の際の協議とは

設計変更とは、主に設計図書にも記されていないような想定外の状況に陥り、工事内容に何らかの変更を加えることです。

想定外の状況とは、たとえば次のような場合を指します。

  • 図面では施工範囲が100mと明記されていたが、実際は102mあった
  • 基礎工事中に想定外の地中障害物が出てきた

このような場合、受注者が独自に判断をして施工を行うことは許されず、必ず発注者側との協議および承諾を経てから実施する流れを取ります。

所定の手続きを行わない場合は設計変更不可とされ、工期に遅延が生じた場合、施工業者側の責任となってしまいます。

国土交通省の資料によると、設計変更が可能となるケースは次の通りです。

  1. 仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無にかかわらず、当初発注時点で予期しえなかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合
  2. 発注時点で想定している工事着手時期に、受注者都合ではない原因から工事に着手出来ない場合
  3. 所定の手続きを行い、発注者の”指示”によるもの
  4. 受注者が行うべき”設計図書の照査”の範囲を超える作業を実施する場合
  5. 受注者の都合にかかわらず、工期の延期・短縮を行う際、協議により必要があると認められる場合
  6. 共有した工事工程表のクリティカルパスに変更が生じ、その変更理由が受注者都合でなく、協議により必要があると認められる場合

NEXCOの成り立ち

1956年~200年まで、日本の高速道路・有料道路の建設・管理は、日本道路公団と呼ばれる特殊法人が行っていました。

また、同業務を行っていた他の特殊法人として、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団の3つがあります。

2005年10月にこの4公団の民営化が行われたことで、次のように生まれ変わりました。

  • 日本道路公団→東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社
  • 首都高速道路公団→首都高速道路株式会社
  • 阪神高速道路公団→阪神高速道路株式会社
  • 本州四国連絡橋公団→本州四国連絡高速道路株式会社

NEXCOとは、上記のうち東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社の3社の統合的名称です。

よって、NEXCOは今では株式会社となっています。

まとめ

今回は、民間の施工管理から発注者支援業務に変わって感じたこと・変わったことをテーマに、からだ、ストレス、仕事にまつわる変化を紹介しました。

  1. 朝が楽になった
  2. 太った
  3. 飲む機会が減った
  4. 腰痛が改善した
  5. 対人関係が楽になった
  6. 利害関係がなくなってストレスが軽減
  7.  “金”と”工期”からの開放感
  8.  標準仕様書を読むようになった
  9. 立場を勘違いするときがある
  10.  国土交通省の職員の大変さが理解できる

発注者支援業務は予算や工期、人間関係のプレッシャーから解放されやすくなる一方、検査・確認をする立場であることから、注意すべき点も変化していました。

この記事が「自分が発注者支援業務になったら…」とイメージする手立てになれば幸いです。


 

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