建設コンサルタントで働く技術者の年収はいくら?国交省の調査を元に徹底解説
今回は、国土交通省の「令和5年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について」で読み取れる、建設コンサルタントで働く発注者支援業務の従事者の年収について解説します。
発注者支援業務で働くなら必ず知っておくべき内容ですので、ぜひご覧ください。
目次
「設計業務委託等技術者単価」とは
「設計業務委託等技術者単価」とは、毎年2月に国土交通省からお知らせされる公示です。
過去に国土交通省発注業務の受注実績がある企業を対象に、地域、規模の分布を反映して抽出し、技術者の給与実態を調査しています。
- 国土交通省が発注する設計業務委託等(設計・測量・地質等)の積算に用いる全国一律の単価。
- 毎年度実施している給与実態調査結果に基づいて、20職種(職階)の単価を設定。
このように「設計業務委託等技術者単価」とは、国土交通省が工事監督業務を建設コンサルへ発注する際、発注金額の根拠とするものです。
似たような調査として「公共工事設計労務単価」があります。
「公共工事設計労務単価」は、大工や鉄筋工などの職人の単価を示しており、国土交通省が民間の建設会社に調査書を送付・集計して平均的な単価を調査し、その年度の単価を決めています。
工事は様々な工種を専門とする職人が関わっており、これらの職人の単価を把握して公共工事全体の費用を算出し、公共工事の単価を算定するものとなります。
「設計業務委託等技術者単価」から年収を計算する方法
設計業務委託等技術者単価から発注者支援業務の日給を計算することができ、そこから各職種の年収を計算することができます。
まず、設計業務委託等技術者単価で発注者支援業者の対象となるものは、以下の3つの職種です。
技師(A):「管理技術者」というポジションに就く人
「一般的な定型業務に精通するとともに高度な定型業務を複数担当する。また、上司の指導のもとに非定型的な業務を担当する。」
技師(C):工事監督業務であれば、1級技士取得者を指す。
「上司の包括的指示のもとに一般的な定型業務を担当する。また、上司の指導のもとに高度な定型業務を担当する。」
技術員 :2級技士、無資格者を指す。
「上司の指導のもとに一般的な定型業務の一部を担当する。また、補助員を指導して基礎的資料を作成する。」
※技師(B):発注者支援業務の対象とはならないものです。
「一般的な定型業務を複数担当する。また、上司の包括的指示のもとに高度な定型業務を担当するもの 」
基準日額の構成は次のものとされており、残業代などの割増賃金は含まれていない金額となっています。
なお、「割増対象賃金比」とは,基準日額に占める「基本給相当額+割増の対象となる手当」(割増賃金の基礎となる賃金)の割合となっており、日額のうち割り増し対象となるものの比率を表しているものです。
そのため、日額には割増賃金が含まれていないのですが、割り増し対象は55%と実際の日額は上振れすることが予想できます。
- 基本給相当額
- 諸手当(役職、資格、通勤、住宅、家族、その他)
- 賞与相当額
- 事業主負担額(退職金積立、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、児童手当)
単価に含まれない賃金、手当
- 時間外、休日及び深夜の労働についての割増賃金
- 各職種の通常の作業条件又は作業内容を超えた労働に対する手当
そのため、事業主負担額もあり純粋な年収ではありませんが、設計業務委託等技術者単価から想定年収を割り出すことは可能です。
発注者支援業務の「管理技術者」になれば、年収は1,000万円を超える!?
各職種での想定年収は、「管理技術者」で残業代なしで約1,000万円を超えると計算できます。
月の稼働日数を20日で設定し、事業主負担額(人件費の約2割と言われています)を除いて算出すると、以下の結果となります。
技師(A):「管理技術者」というポジションに就く人
55,200円(技師(A)の単価)×0.8=44,160円
44,160円×20日=883,200円×12か月=年収約1,060万円
技師(C):工事監督業務であれば、1級技士取得者を指す。
35,600 円(技師(C)の単価)×0.8=28,480円
28,480円×20日=569,600円×12か月=年収約680万円
技術員 :2級技士、無資格者を指す。
31,600円(技術員の単価)×0.8=25,280円
25,280円×20日=505,000円/月×12か月=年収約600万円
この結果は建設会社を調べたものではなく設計会社(建設コンサルタント)を調査した結果であり、純粋に施工管理している人の給与ではないことに注意が必要です。
また、調査結果によって単価が反映され、技士(A)相当なども報告者が自由に設定できるため、「高めに結果を出している」ともよく言われており、平均値なので大企業もあれば中小企業も調査されております。
そのため、施工管理職の給与と完全に一致していると必ずしも言えませんが、参考値として考えることはできます。
建設コンサルタントで働く人にとって、給料が上がりやすい環境になっている
本調査の結果から、「建設コンサルタントで働く人にとって給料が上がりやすい環境になっている」と読み取ることもできます。
なぜなら、以下のようなことが読み取れるためです。
- 設計業務委託等技術者単価が毎年4%ずつ上昇しており、受注金額も上がっている。
- 発注者支援業務はほぼ人件費のため、単価が上がっていることはそのまま給料が上がっていると考えられる。
まず、「設計業務委託等技術者単価」は直近10年で約4割、毎年4%ずつ上昇しており、発注金額も上がっています。
そのため、建設コンサルの売り上げも合わせて上がっていると考えることができます。
また、発注者支援業務はほぼ人件費のため、単価が上がっていることはそのまま給料が上がっていると考えられます。
例えば、工事の積算に用いる”設計労務単価”では人件費以外にも資材・重機などの様々な項目を積算して工事費が求められます。
一方で、発注者支援業務の場合は細々な経費として車のリース費などありますが大した金額にならず、「設計業務委託等技術者単価」の金額は人件費だけと考えることができます。
まとめ
今回は、国土交通省の「令和5年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について」で読み取れる、建設コンサルタントで働く発注者支援業務の従事者の年収について解説しました。
今回の年収計算は必ずしも100%年収を反映しているとは限りませんが、建設コンサルタントで働く人にとって給料が上がりやすい環境になっていることは読み取ることができます。
今後発注者支援業務を目指される方、転職を希望される方はぜひ参考にしてみてくださいね。
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