発注者支援業務に16年従事したベテランが明かす、鉄道運輸機構の現場と国土交通省の違い【Part 2】
この記事は以下の記事の続きです。
前の記事を読んでいない方は、こちらの記事もご覧ください。
民間の建設会社から50歳を過ぎて株式会社ライズに入社し、発注者支援業務に16年間従事する板橋氏にインタビューをしました。
前の記事では発注者支援業務の魅力と民間建設会社との働き方の違いを解説いただきました。
今回は後編として、鉄道運輸機構の具体的な工事内容や業務内容、業務の中で苦労したことや国土交通省と鉄道運輸機構の違いについて解説します。
Part 1
「50代から発注者支援業務」 |
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Part 2
「鉄道運輸機構」 |
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Part 3
「岩手県土木技術振興協会」 |
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Part 4
「国土交通省 河川出張所」 |
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発注者支援業務で働くなら必ず知っておくべき内容ですので、ぜひご覧ください。
目次
鉄道運輸機構の具体的な工事内容とは
鉄道運輸機構(独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)は、2003年に鉄道建設公団および運輸施設整備事業団が統合されて設立されました。
鉄道運輸機構は主に新幹線の建設に関わる業務を行い、国と協力して新幹線ネットワークの拡充をしています。
今回はそんな鉄道運輸機構で10年間発注者支援業務として携わってきた板橋さんに話を伺います。
福島県会津若松出身。
35歳頃から民間の建設会社で15年間、下水道・処理場・道路・河川など様々な工事に携わりながら、フリーランスとして個人でも施工管理の請負を行う。
その後、株式会社ライズに入社し、鉄道運輸機構で10年間、岩手県土木技術振興協会で3年間、国土交通省の河川事務所で3年間、計16年間にわたり発注者支援業務に従事。
板橋氏:
はい、まず最初に長野県飯山市で北陸新幹線に現場を担当しました。
当時の北陸新幹線は長野市まで開通しており、長野市から新潟県境までの約50kmの区間を担当しました。
この区間にはトンネルや橋、高架橋が含まれ、「高架橋4km→PC橋梁→トンネル」の建設に携わり、担当する工事の件数は重複することもありますが1~2本でしたね。
板橋氏:
主に携わった工事は橋とトンネルの割合はほぼ半々で、工事費用は高架橋の工事は十億円単位、トンネル工事は100~200億円規模が多かったです。
例えば高架橋の工事では1kmで10~20億円程度、トンネル工事では100億円で請け負った場合でも変更が重なることで5年後には200億円程度に増加することがよくありましたね。
また、現場では主にスーパーゼネコン級と準ゼネコン級の企業が関わり、立合に出席する現場代理人の年齢層は30代前半から40代中盤と比較的年齢が高い現場でした。
鉄道運輸機構での1日の業務の流れ
板橋氏:
立合に行く日は常に1日中現場というわけではなく、午前中に現場へ行ってから事務所へ戻り、午後に再び現場へ行くという日や現場に行かない日もありました。
当時の鉄道運輸機構の始業は8:45~9:00頃で出勤後に職員と簡単な打ち合わせをしていました。
現場では現場技術員1人と職員1人がペアで1現場を見るのが通常で、例えば現場技術員が4人いる場合も一人一人に職員がつき、職員からの「これをやってくれ」という依頼に従って業務を行っていました。
また、立合がなければよほどのことがない限り現場にはいかず、たまに現場巡回をすることもありますが頻繁にすることはありません。
事務所内にいるときは受注者から提出される工事書類の確認などをし、もし確認を怠っていたら上長から「どうしてこうなったのか?」と厳しく追及されることになりましたね。
鉄道運輸機構では積算業務を担当し、設計変更への対応が大変だった
板橋氏:
鉄道運輸機構にてNEXCOなどと同様に積算業務や現場監督もしていました。
最初の設計書は局の方で作成しますが、着工以降の設計変更は発注者支援業務として担当していました。
板橋氏:
設計変更の協議から業者との一連のやりとりを窓口として担当し、設計変更の根拠を確認していました。
例えば業者の設計変更をそのまま飲むことはせず、業者と設計変更に係る数量や工法について細かくヒアリングするなどです。
板橋氏:
いえ、トンネルの設計変更の回数は年1、2回で、代わりに工事変更という形で年間20回ほど対応していました。
例えば「切羽で掘っていくけど水が出てきてどうしようもない」となった場合には、止水の対応や機械を使って500m先でどれくらい水が出るかを調査したりします。
このような場合、1日4kmほど進む予定の工事が1日50cmしか進まずに工事変更をしますが、高価な機械を利用しているために工期が延びることで費用も大きくなってしまうことがよくありましたね。
このように「設計変更」ではなく「工事変更」という形で都度提案を受け、金額を決定する「設計変更」を年1~2回実施して清算をしていました。
板橋氏:
はい、設計変更の際には数量チェックも実施しました。
鉄道運輸機構はCAD(AutoCAD)が必須で、CADで提出された面積などの数量の整合性をチェックしたりしていました。
板橋氏:
残業は前述の設計変更の時期になるとありましたが、普段は1~1.5時間程度でした。
鉄道運輸機構の事務所の担当範囲は広い
板橋氏:
館山市の事務所の工事範囲は飯山市~長野市~新潟県境までと長野県内ほぼすべてで、約50m先までが飯山の事務所の担当範囲でした。
当時担当している現場が30km先でしたので、立合に行く際には往復60kmを移動していましたね。
国土交通省では鉄道運輸機構と違ってCAD対応と積算業務がなかった
板橋氏:
国土交通省と鉄道運輸機構の違いは、国土交通省ではCADを扱うことや積算業務がなかったという点ですね。
そのため、国土交通省では現場確認と書類確認がメインで、積算業務やCADがないことはありがたかったです。
鉄道運輸機構の工事でのWEB臨場について
板橋氏:
話を直接聞いたことがないですが、今だとやっている可能性はあると思います。
ただし、WEB臨場について、業者が移す範囲でしか見れずに全体を見ることができないため、現場で働くほとんどの技術員はWEB臨場をやりたくないと思うのが実情ではないかなと思います。
特にトンネル工事では、高所作業車に乗って引っ張り試験の確認をしたりしますが、「モニターでの確認は無理じゃないかな」と私は思います。
まとめ
今回は後編として、鉄道運輸機構の具体的な工事内容や業務内容、業務の中で苦労したことや国土交通省と鉄道運輸機構の違いについて解説しました。
鉄道運輸機構での働き方が気になる人はぜひ参考にしてみてください。
この記事の続きとして以下の記事で、県や市町村の公共工事での具体的な工事内容や業務内容について解説します。
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