県や市町村の公共工事の積算業務での仕事内容とは?残業時間などの実態も解説【Part 3】
この記事は以下の記事の続きです。
前の記事を読んでいない方は、こちらの記事もご覧ください。
民間の建設会社から50歳を過ぎて株式会社ライズに入社し、発注者支援業務に16年間従事する板橋氏にインタビューをしました。
前の記事では発注者支援業務の魅力や民間建設会社との働き方の違い、鉄道運輸機構での働き方を解説いただきました。
今回はパート3として、県や市町村での具体的な工事内容や業務内容、残業時間などについて解説します。
Part 1
「50代から発注者支援業務」 |
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Part 2
「鉄道運輸機構」 |
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Part 3
「岩手県土木技術振興協会」 |
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Part 4
「国土交通省 河川出張所」 |
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発注者支援業務で働くなら必ず知っておくべき内容ですので、ぜひご覧ください。
県や市町村の公共工事での仕事内容とは
公共工事を行う「岩手県土木技術振興協会」で3年間発注者支援業務として積算業務に携わってきた板橋さんに引き続き話を伺います。
福島県会津若松出身。
35歳頃から民間の建設会社で15年間、下水道・処理場・道路・河川など様々な工事に携わりながら、フリーランスとして個人でも施工管理の請負を行う。
その後、株式会社ライズに入社し、鉄道運輸機構で10年間、岩手県土木技術振興協会で3年間、国土交通省の河川事務所で3年間、計16年間にわたり発注者支援業務に従事。
板橋氏:
砂防ダム・人工的な斜面である法面(のりめん)・道路・橋・河川など土木の全分野の積算業務をし、県だけでなく市区町村も含めた公共工事のほぼすべてを担当しました。
積算担当者は全部で50人くらいいました。
板橋氏:
そういうことですね。
私のような発注者支援業務の担当者として民間から応援に行くのが25~26人で、職員が同じくらいいました。
職員は私たちのような民間の担当者が行う積算よりも難しい要素のある案件を担当していましたね。
板橋氏:
数千万~数億円規模もあれば、500万円程度の案件もある感じでした。
担当する業務は「10現場を一括して担当してください」という形で様々な自治体をまとめて依頼され、500万円規模の工事を10件まとめて依頼されることもありました。
板橋氏:
積算本数は月に4~5件程度で週1件くらいのペースでした。
1か月に1回ほど積算待ちの案件数などを打合せして担当する案件が決まる形でしたね。
県や市町村の公共工事での積算業務の詳細
板橋氏:
岩手県土木技術振興協会の積算業務では、設計図面と数量表をチェックして設計基礎と歩掛の根拠を作成し、積算設計書を作成しました。
板橋氏:
そうですね。
まずは設計図面と数量表は一緒にもらい、設計図面と数量表のチェックをして修正点があれば修正依頼をしました。
そのため、建設コンサルとやりとりを行い、図面を修正するというものです。
板橋氏:
基本的な積算は県のものがあるため、市区町村であっても歩掛を流用し、積算ソフトは県と市区町村で統一されていました。
「JASIC」という積算ソフトを使っていました。
板橋氏:
内訳の各項目の入力と数量と条件を入力することになりますが、その前に歩掛の根拠を作成します。
根拠を作成するには「積算基礎」が必要で、その基礎を作成することが積算を行う上での大部分を占めていました。
例えば資材の運搬距離など歩掛の根拠となる部分を検証するなど、複数選択肢がある中でなぜその選択をしたかの根拠を作る作業で、手間が結構かかりましたね。
板橋氏:
特記仕様書は作成しません。
あくまで積算と入力をして積算設計書を作成するまでが業務内容でした。
板橋氏:
CADはほとんどの作業で使用し、発注用図面の修正をすることもありました。
板橋氏:
発注者から図面・数量表をもらう場合や公社が測量を依頼して図面・数量表を作成することもあったため、岩手県土木技術振興協会で設計することもありました。
未経験の工種の積算での対応
板橋氏:
未経験の工種を担当することはたくさんありました。
事務所内にある多くの本を見て勉強したり資料を送付してもらいながら、歩掛を作成したこともあります。
板橋氏:
公共工事の積算で基本的な考え方は同じで設計労務単価など歩掛はほとんど同じものがあったため、そういう面ではスムーズでした。
ただ、システムが鉄道運輸機構と岩手県で違うために戸惑うこともありましたね。
例えば鉄道運輸機構では他の見積書からコピペでデータを簡単に引っ張ってこれましたが、岩手県の「JASIC」ではそれができずに手入力する必要があったりしました。
鉄道運輸機構での働き方などについてはこちらの記事をご覧ください。
県や市町村での残業について
板橋氏:
残業は1日1~2時間ほどで休日もしっかりとることができました。
ただ、私が担当した14億円規模の河川の現場では建造物と道路の工事、橋の取り壊しや新設もあり、積算に1か月ほど要して県へ納品しないといけないために朝4時くらいまでやっていたこともあります。
板橋氏:
私たち発注者支援業務の担当者が作成した設計書と入札価格の乖離が大きすぎる「不調」になってしまわないように注意する必要がありました。
私たちが作成をして公社がチェックをして修正し、その後県の方でもチェックが行われますが、それでも不調になってしまった担当者もいました。
「どうして不調になったんだ」と言われることはありませんが、「不調」の不安は少なからずありましたね。
まとめ
今回はパート3として、県や市町村での具体的な工事内容や業務内容、残業時間などについて解説しました。
県や市町村での発注者支援業務の働き方が気になる人はぜひ参考にしてみてください。
この記事の続きとして以下の記事で、国土交通省の河川事業所での工事内容や労働環境、発注者支援業務は60代の高齢でもできるかについて解説します。
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