国土交通省の勤務先はどこ?8種類に分かれる事務所の特徴を解説

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発注者支援業務の”発注者”には国土交通省や農林水産省、防衛省、自治体などさまざまな機関があることは以前説明しました。

その中でも国土交通省は仕事のボリュームでもトップクラスを誇り、最も代表的な発注者と言えます。

そこで、本記事では国土交通省の発注者支援業務を行った場合、勤務先としてどのような場所があるのか紹介します。

国土交通省の仕組みがよくわかる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください!

1. 国土交通省の仕組み│8つの地方整備局

国土交通省には、”本省”と”地方整備局”があり、それぞれ管轄が分かれています。

霞が関に国土交通省の”本省”という本店があり、各地域に”地方整備局”という支店があるとイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。

そして、地方整備局は全国に8つあります。

  • 東北
  • 関東
  • 北陸
  • 中部
  • 近畿
  • 中国
  • 四国
  • 九州

たとえば関東には”関東地方整備局”があります。管轄エリアは基本は関東全域ですが、実は単体ではありません。

関東地方整備局の管轄は、関東一都六県 + 長野県・山梨県・静岡県です。

なぜ関東以外のエリアも入っているのかというと、国土交通省の発注者支援業務が該当する主な仕事が、河川と道路だからです。

たとえば河川は流れが隣県にまたがることも多いため「ここから先は関東じゃないから」と切るわけにはいかないのですね。

よって単純に県で管轄を分けるのではなく、利根川水系などの”水系”で区切っているのです。

関東地方整備局以外の地方整備局でも同様に、水系や道路などの影響を考えて管轄エリアが区切られています。

国土交通省のホームページにもそのように記載されています。

なぜ地方整備局の中に北海道と沖縄がないのか?

8つの地方整備局を見て「北海道と沖縄がない!」と思った方もいるかもしれません。

その通り、北海道と沖縄は”地方整備局”ではありません。

それぞれ北海道開発局、沖縄総合事務局として独立しています。

また、沖縄総合事務局の大元は国土交通省ではなく、内閣府です。

沖縄と北海道だけ独立している理由は、一言で表現すると”歴史的な背景”です。

北海道や沖縄はその昔開発が難しい部分があったので、結果的に別組織になり今に至っています。

2. 地方整備局の中にある事務所とは?

各地方整備局の中には、複数の”事務所”があります。

事務所の種類は大きく8種類です。

  1. 河川
  2. 砂防
  3. ダム
  4. 道路
  5. 技術
  6. 公園
  7. 営繕
  8. 港湾・空港

関東地方整備局のエリアの中には、この8種類の事務所が計53あるとされています。

では、各事務所ではいったいどんな業務が行われているのでしょうか?

各事務所の特徴を知っておくと、国土交通省の勤務地を知る上でも参考になるかと思います。

次のパートからは8種類の事務所を順に紹介していきます。

①河川

1つ目は河川です。

事務所名で言うと、利根川上流河川事務所、江戸川河川事務所、京浜河川事務所などがあります。

利根川のように大きな河川では、上流河川事務所と下流河川事務所で分かれることもあり、管理も上流と河川で分けて行っています。

荒川も、荒川上流と下流で事務所が分かれていますね。

少し変わったところを紹介すると、江戸川河川事務所は、江戸川はもちろん首都圏外郭放水路も管理しています。

また、京浜河川事務所は多摩川・鶴見川などを管理しているのですが、実は沖ノ鳥島も管轄しています。

沖ノ鳥島とは小笠原諸島の南にある岩だけの小さな島のことです。

国土交通省の河川事務所で無人島も管理していると考えると面白いですよね。

まとめると、川ごとに管理を行うのが河川事務所です。

発注者支援業務で言うと、やはり川関係の工事の管理を行うことになりますね。

ちなみに河川事務所はだいたい川の近くにありますので、駅から川が遠いとなると通勤が少し大変かもしれません。

首都圏外郭放水路とは

首都圏外郭放水路とは、地底50mを流れる世界最大級の地下放水路のことです。

各河川から洪水を取り込む”流入施設”と”立坑”、洪水を流す”トンネル”、そして地下空間で水の勢いを弱め、スムーズな流れを確保する”調圧水槽”、さらに地下から洪水を排水する”排水機場”などで構成されており、全長は6.3kmです。

その外見は地下神殿のようになっています。

中川や倉松川、大落古利根川、18号水路、幸松川といった中小河川が洪水となった時、洪水の一部を江戸川へと流すことを目的に作られました。

当該地域は土地が低く、水がたまりやすい地形となっています。

川の勾配も緩やかなため、水が海まで流れにくいという特徴があり、大雨が降ると水位がなかなか下がりません。

さらに近年では、降った雨が地中に吸収されにくく、雨水が一気に川に流れ込むことで洪水が発生しやすいといった問題がありました。

しかし首都圏外郭放水路の建設によって、そのような洪水被害も大きく軽減されました。

②砂防

2つ目が砂防です。

事務所名で言うと、利根川水系砂防事務所、日光砂防事務所、それから富士川砂防事務所などがあります。

たとえば利根川水系砂防事務所であれば、利根川のずっと上流の方へ行くと山間になって、支川や水系があります。

その山間部には砂防ダムや砂防堰堤を作らなければいけないのですが、その工事を行うのが砂防事務所です。

よって、砂防事務所の管轄エリアも河川事務所と同様、水系で区切られてられているようなイメージです。

ちなみに砂防事務所は仕事柄、山の奥の方にあることが多いです。

砂防とは

砂防とは地すべりやがけ崩れなど、土砂災害対策を目的とした手段の1つです。

日本は国土面積の7割を山地が占める上、山に囲まれた谷地やその下流で開けた扇状地、火山周辺の台地を生活や産業活動場所としているため、このような場所を守るための”砂防”とう技術が非常に発展しています。

世界でも”sabo”という言葉がそのまま通用するくらいです。

砂防ダム・砂防堰堤(さぼうえんてい)について

堰堤とは砂防や貯水、治水のために河川・渓谷を横断して作られる堤防のことです。

砂防法に基づき国土交通省が管轄し、各地の地方整備局や都道府県の土木系の部署が建設します。

現在は”ダム”と呼ばれる方が多く、つまり砂防ダムと砂防堰堤は同じものを指します。

土砂は常に川の中で水と一緒に流れているものですが、大雨や洪水時は一気に大量の土石流が発生するため、これを止めることが重要となります。

砂防堰堤の根本的な機能はこれらの土石流をせき止め、有害な土砂を貯めることです。

主な堰堤としては、土砂を完全に防ぐ”不透過型砂防堰堤”と、有害な土石流の捕捉や減勢をねらいとした”透過型砂防堰堤”の2種類があります。

前者で最も一般的なものは”コンクリート堰堤”で、開口部を持たないため、土砂をしっかりとせき止めます。

堰堤上部に貯まった土砂や流木は、適切なタイミングで取り除かれます。

後者には”コンクリートスリット堰堤や””鋼製スリット堰堤”などがあり、いずれもスリット(開口部)があることが特徴です。

スリットのおかげで、通常時は無害な土砂を下流に流すことができるため、完全に流れを遮る”不透過砂防堰堤”より環境に優しいと言われています。

ちなみに、治山堰堤(治山ダム)というものがありますが、こちらは森林法に基づき林野庁が管轄し、各地の森林管理署や都道府県の林業系の部署が建設するものです。

砂防堤防と管轄や建設する部署が異なる他、そもそも堰堤を築く目的も異なるので、メンテナンス上の考え方にも違いがあります。

③ダム

3つ目はダムです。

2020年に八ッ場ダムが建設されたところですが、こういったダムの管理をするのが事務所の仕事です。

代表的な事務所としては、利根川ダム統合管理事務所があり、この事務所が八ッ場ダムを管理しています。

また、鬼怒川ダム統合管理事務所は川治ダム・湯西川ダムを管理しています。

相模川水系広域ダム管理事務所は宮ヶ瀬ダムを管理しているのですが、こちらは東京で最も大きなダムです。

このようにダムの事務所は管轄するダムごとに作られており、場合によっては砂防事務所よりもさらに山奥に建てられている場合もあります。

④道路

4つ目は道路です。

事務所としては東京国道事務所や横浜国道事務所、千葉国道事務所などがあります。

基本的には”国道〇号線”によって事務所が分かれており、たとえば東京国道事務所であれば、国道1号・4号・6号・14号・15号・17号・20号・246号・254号・357号が所轄とされています。

とはいえ国道は長いので、丸々1本を管理するわけではありません。

東京国道事務であれば、管轄する国道は前述した通りですが、”東京都23区内の”という風に分けられています。

ただ大まかなイメージで言うと、国道事務所=国道ごとの管理で分けられているという認識で大丈夫です。

補足ですが、河川と道路が一緒になってる事務所もあります。

国土交通省の関東地方整備局では、常陸河川国道事務所、高崎河川国道事務所、甲府河川国道事務所の3つが該当します。

⑤技術

5つ目は技術系の技術事務所です。

関東地方整備局には1つだけ関東技術事務所があり、昔から”カンギ”と呼ばれています。

これは他の事務所と少し趣が違い、工事の管理をすることが仕事です。

関東技術事務所のホームページでは、業務内容について次のように記載されています。

  • 技術的課題の改善や支援
  • 構造物や機械設備の維持管理技術の調査・検討
  • ICTの活用促進や新技術の普及

要するに、技術的なサポートを行う事務所ということですね。

「カンギ」と呼ばれる関東技術事務所は建築関係の展示会場になっており、展示物があります。

今はどうかわかりませんが、以前はユンボやバックホウなどの運転体験もできました。

一般人も見学できるようになっています。

ユンボとバックホウとは

ユンボとバックホウは、”油圧ショベル”と総称される掘削用建設機械の1つです。

日本におけるユンボの歴史は昭和30年代から始まり、当時非常に好評を博したため、今でも土木建設業界ではユンボが油圧ショベルの代名詞となっています。

バックホウは、back(後ろ側)+hoe(くわ)が語源となっている名称です。

ショベルが運転者側の方向に取り付けられているのが特徴です。

内側(自分側)に引き寄せるように操作するので、地面より低い地点での掘削作業に最適です。

逆にショベルが進行方向側を向いている重機は、主にパワーショベルと呼ばれています。

ちなみにユンボとバックホウは、機体としてはまったく同じものだと言われています。

”ユンボ”は建機レンタル企業『レンタルのニッケン』の登録商法、バックホウは行政で使われる行政用語として、異なる名称で呼ばれています。

建設展示技術館について

建設技術展示館は、千葉県松戸市にある屋内外展示場です。

最新の建設技術や取組をパネルや映像、模型等で展示しており、技術者はもちろん一般の方でも無料で見学できます。

「Society5.0を実現する新技術」や「防災・減災・国土強靱化、インフラ長寿命化技術」など、1期ごとにテーマを定めており、同テーマに沿った100以上の技術と、国・自治体・関連団体の取り組みについての展示を行っています。

屋内展示場では、建設技術をわかりやすく説明した出展技術コーナーや、建設技術の歴史紹介、建設技術の強度などを自ら体験できるふれあいコーナー、最新デジタル技術を体感できるDXパークなどがあります。

屋外展示場では、実物の被災橋梁や老朽化橋梁、シールドマシン、樋門・共同溝の施工プロセス、44種類の舗装技術を紹介したプロムナード、車椅子によるバリアフリー体験コーナーなどがあります。

また、団体見学で事前申込をしておくと、実際の災害時に活躍している災害対策車両も見ることができます。

まとめ

発注者支援業務の発注者で最も代表的なのは国土交通省です。

その国道交通省では、本店の役割を持つ”本省”と支店のような役割を持つ”地方整備局”があります。

本省は霞が関に1つありますが、地方整備局は次の8つに分かれています。

  • 東北
  • 関東
  • 北陸
  • 中部
  • 近畿
  • 中国
  • 四国
  • 九州

また、各地方整備局には複数の事務所があります。 

事務所の種類は次の8つです。

  1. 河川
  2. 砂防
  3. ダム
  4. 道路
  5. 技術
  6. 公園
  7. 営繕
  8. 港湾・空港

今回は『1. 河川』『2. 砂防』『3. ダム』『4. 道路』『5. 技術』まで事務所の特徴を解説しましたので、次回は『6. 公園』から説明します。


 

この記事の内容は以下の動画で解説しています。

理解を深めたい方はこちらの動画もご覧ください。

この記事の続きは以下の記事になります。

国土交通省の地方整備局は関東に何カ所ある?【発注者支援業務】

2022.05.27

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