発注者支援業務の入札金額はどう決まる?落札の決め手は金額?技術提案?
この記事は以下の記事の続きです。
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本記事では、発注者支援業務の入札プロセスについて解説しています!
発注者支援業務の入札は、入札金額と技術提案の2点を基準とする総合評価方式で評価されます。
前回は技術提案について解説しましたので、今回は入札金額にフォーカスし、説明します!
目次
入札価格と価格評価点について
入札価格とは、各社の入札金額のことです。
まずはA社、B社、C社の入札金額を見てみましょう。
- A 社…6,432万円
- B 社…6,432万円
- C 社…7,000万円
次に、入社金額に対して示されている価格評価点をチェックします。
入札金額は低ければ低いほど評価されるので、A・B社は6点、C社は3.8点という結果になりました。
こちらに技術評価点を合わせた値が、トータルの評価値になります。
前記事で紹介した通り、技術提案はA社会が49.9点で1位を取っているので、最終的にはAが落札ということになります。
落札する会社はこのようなプロセスを経て決まっていくのですね。
技術提案の項目を振り返ると、主に次の4項目で評価されました。
- 予定管理技術者
- 予定担当技術者
- 実施方針
- 技術提案
ここで注意したいのが、前半2つの項目については、人の要素であるということです。
すなわち、入札において経験者を抱えている会社は強いと言えるでしょう。
予定価格・調査基準価格・評価点の満点とは
少し説明を加えておきたいのが、予定価格・調査基準価格・評価点の満点の3つです。
それぞれの用語の意味については次の通りです。
予定価格
予定価格とは、国土交通省が当初予定していた金額のことです。
つまり、国土交通省で積算をしたところ、今回の業務は8,040万円くらいになる見込みだったということですね。
調査基準価格
調査基準価格とは、入札金額の下限のことです。
入札金額は低い方が評価されるのが基本ですが、あまりに低い金額では「いい加減な施工をされるのでは…」という懸念材料になります。
したがって、調査基準価格=下限金額をボーダーラインとして設けているのです。
平たく言えば、予定価格は上限、調査基準価格は下限ということですね。
ちなみに調査基準価格(下限)は予定価格(上限)の80%と設定されているため、入札における競争価格の範囲は、予定価格の80%~100%の間ということになります。
調査標準価格と入札価格がピッタリ合うのはなぜ?
さて、ここで再度見て頂きたいのが、調査基準価格と、A社・B社の入札価格です。
調査基準価格と、 A 社・ B 社の入札価格が6,432万円とピッタリ同じなのがおわかりでしょうか。
なんだか不思議ですよね。
しかし発注者支援業務の入札においてこのようなことはよくあります。
なぜなら発注者支援業務の費用はほぼ人件費のみとシンプルな構成のため、発注者支援業務の会社側からも価格の予想がつきやすいからです。
発注者支援業務の費用はおおまかに言うと、次のような式で求められます。
- 1日の単価×20日+残業費+車などの諸経費=発注者支援業務の費用
そして、この予定価格に所定のパーセンテージを掛ければ調査基準価格(=下限金額)を割り出せます。
入札金額は低いほど評価されるため、調査基準価格に合わせて入札価格を設定すれば、ほぼほぼ満点の評価を得られるということです。
発注者支援業務の費用がほぼ人件費のみである一方、工事にかかる費用は機・労・材(きろうざい)で構成されます。
- 機(き)…クレーン・バックホウなどの機械経費
- 労(ろう)…職人に仕事をしてもらうための労務費
- 材(ざい)…1㎡あたりのコンクリート費はいくらか?といった材料費
つまり発注者支援業務の費用は労(ろう)のみで構成されていることになります。
今回の業務は令和3年度~令和4年度の2年分の仕事であるため、6,432万÷2=3,216万円が1年分の金額ということになります。
あとは管理技術者や技術員など、配置する人材の数で割り出せば、人件費がおおよそいくらで受注できたのかがわかります。
また、入札公告と同様、発注者支援業務の実際の落札金額もすべて公表されているため、興味のある方は見てみてください。
よくある疑問1. 入札価格が調査基準価格とまったく同じだと、発注者に怪しまれないの?
工事の入札において会社側の入札価格と調査基準価格がまったく同じの場合は、たしかにおかしいと感じられるでしょう。
なぜなら工事費用の積算は複雑だからです。
しかし発注者支援業務はほぼ人件費のみのため、特に怪しまれることはありません。
よくある疑問2. 発注者支援業務の落札の決め手は技術提案?
発注者支援業務の入札は金額がある程度読める以上、技術提案がキーとなることは間違いありません。
発注者支援業務の中でも、特に資料作成業務の入札では、会社側の入札価格がすべて同じ金額ということも多々あります。
資料作成業務は車の経費などが発生せず、完全に人件費のみで構成されるため、それだけ合致する可能性が高まるということですね。
また国土交通省で積算の基準も示されているため、その通りに計算すれば、発注者支援業務の積算は意外に誰でもできてしまうといったところがあります。
まとめ
今回は発注者支援業務の入札をテーマに、発注者支援業務の入札価格の評価基準や、会社側がどのように入札価格を提示しているのかを解説しました!
ポイントは次の通りです。
- 予定価格=入札の上限価格
- 調査基準価格=入札の下限価格
- 入札価格は予定価格~調査基準価格の間で競争する
- 発注者支援業務の費用はシンプルな構成のため、会社側も予定価格を予想しやすい
- 発注者支援業務の落札の決め手は技術提案にアリ
入札というとなんだか難しく感じますが、1つ1つ紐解いていくと意外とカンタンに理解できたのではないかと思います。
こちらの記事を参考に、ぜひ実際の発注者支援業務の落札案件なども見てみてくださいね。
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