担当技術者は業者に指示してはいけない!国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書」を解説【後編】

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この記事は以下の記事の続きです。

前の記事を読んでいない方は、こちらの記事もご覧ください。

管理技術者の役割と業務の範囲とは?国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書」を解説【前編】

2024.01.27

国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書 」とは、国土交通省の各地方整備局(関東地方整備局など)が発注する土木工事等での発注者支援業務での共通ルールを示したものです。

「発注者支援業務共通仕様書 」の中でも、工事監督業務に関係する共通ルールで特に大事な項目は次の6つです。

  1. 国土交通省「発注者支援業務共通仕様書」とは
  2. 管理技術者の役割と業務の範囲
  3. 管理技術者と担当技術者の適正配置
  4. 計画書の作成と成果物の提出が必要
  5. 発注者支援業務の再委託について
  6. 担当技術者は工事受注者に対して指示または承諾をしてはいけない

今回は、後編として発注者支援業務での計画書の作成や成果物、発注者支援業務の再委託、担当技術者の指示または承諾について解説します。

発注者支援業務で働くなら必ず知っておくべき内容ですので、ぜひご覧ください。

発注者支援業務も計画書の作成が必要

発注者支援業務も、2週間以内に業務の進め方についての業務計画書を提出する必要があります。

第1010条 業務計画書 第1項
受注者は契約締結後 14 日(休日等を含む)以内に業務計画書を作成し、調査職員に提出しなければならない。

国土交通省関東地方整備局│発注者支援業務共通仕様書(R4.4.1以降に契約締結の業務に適用)

内容については工事計画書のような厳格なものではありませんが、提出自体は必要と規定されています。

発注者支援業務にも成果物が必要

発注者支援業務も成果物を提出する必要があり、成果物は「業務報告書」と「引継事項記載書」と規定され、国土交通省に検査を受けるものとなります。

業務報告書は日報のような報告書であり、引継事項記載書は工事が継続するために後任の担当や企業などに引継ぐための書類です。

国土交通省の業務は2年~3年業務で契約は満期となり、次回も同じ企業が担当するとは言えないため、引継事項記載書が必要になります。

第1013条 成果物の提出 第1項
受注者は、業務が完了したときは、第2005条、第3004条又は第4006条に示す成果物を業務完了報告書とともに提出し、検査を受けるものとする。

第4006条 成果物
工事監督支援業務の成果物は次のとおりとする。
一 業務報告書
二 引継事項記載書

国土交通省関東地方整備局│発注者支援業務共通仕様書(R4.4.1以降に契約締結の業務に適用)

工事監督業務の検査の方法として過去の例にはなりますが、会議室で複数人の検査官と対面してそこで成果物をチェックしてもらうという方法がありました。

発注者支援業務は基本的に再委託できない

工事監督業務は国土交通省から受注した場合、管理技術者がやるような業務を下請に再委託することは基本的にできませんが、一部業務は国土交通省の承諾を得られれば再委託できます。

第1016条 再委託

  1. 契約書第7条第1項に規定する「主たる部分」とは、次の各号に掲げるものをいい、受注者は、これを再委託することはできない。
    一 業務遂行管理、業務の手法の決定及び技術的判断等
  2. 受注者は、コピー、ワープロ、印刷、製本、計算処理(単純な電算処理に限る)、トレース、資料整理などの簡易な業務の再委託にあたっては、発注者の承諾を必要としない。
  3. 受注者は、第1項及び第2項に規定する業務以外の再委託にあたっては、発注者の承諾を得なければならない。
  4. 受注者は、業務を再委託に付する場合、書面により協力者との契約関係を明確にしておくとともに、協力者に対して適切な指導、管理の下に業務を実施しなければならない。
    なお、再委託の相手方は、国土交通省関東地方整備局の測量・建設コンサルタント等業務に係る一般競争(指名競争)参加資格の認定を受けている者である場合は、国土交通省関東地方整備局長から測量・建設コンサルタント等業務に関し指名停止を受けている期間中であってはならない。

国土交通省関東地方整備局│発注者支援業務共通仕様書(R4.4.1以降に契約締結の業務に適用)

しかし、国土交通省の承諾を得て再委託するパターンはほぼありません。

なお、株式会社ライズでは再委託でなく派遣契約のため、このルールには該当していません。

担当技術者は工事受注者に対して指示または承諾をしてはいけない

担当技術者は管理技術者から指示された内容を実行する必要があり、工事受注者に対して指示または承諾を行ってはいけません。

現場から施工について提案を受けた際は、担当技術者の判断で指示・承諾せず、主任監督員・監督員に相談の上、メッセンジャーとして伝言しないといけません。

逆に言えば「責任がある程度免除されている状態」と考えることができ、発注者支援業務の人は権限がない代わりに免責されています。

第4001条 担当技術者 第2項
担当技術者は、第4002条のうち管理技術者から指示された内容を適正に実施するものとし、設計図書に定めのあるほか、工事受注者に対して指示、又は承諾を行ってはならない。

国土交通省関東地方整備局│発注者支援業務共通仕様書(R4.4.1以降に契約締結の業務に適用)

例えば、道路工事を担当している会社があった場合、管理技術者が現場に出ることはなく、担当技術者が現場で検査・確認をしていたとします。

その際に建設会社から担当技術者に「このやり方でいいですか?」と施工に関する提案を受けた場合に、担当技術者の”承諾”に該当してしまうため、担当技術者が「いいですよどうぞ」と言ってはいけません。

このように提案を受けた際には担当技術者は役所の「主任監督員・出張所長」などの元へ行き、報告をして係長・出張所長の承諾を得ることが必要です。

 

また、担当技術者の”指示”に該当してしまうため、担当技術者が建設会社に「こうしなさい」と言ってはいけません。

同じくこのように提案を受けた際には担当技術者は役所の「主任監督員・出張所長」などの元へ行き、報告をして係長・出張所長の承諾を得て報告しましょう。

まとめ

今回は、国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書 」で規定されている工事監督業務に関係する共通ルールについて解説しました。

どの現場であったとしても共通認識とされる最低限のルールです。

発注者支援業務、特に工事監督業務で働く方はぜひ知っておきましょう。

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