管理技術者の役割と業務の範囲とは?国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書」を解説【前編】

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発注者支援業務には工事監督、積算、許認可など様々な業務がありますが、すべての業務に共通したルールがあります。

そうしたルールをまとめたものが国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書 」です。

「発注者支援業務共通仕様書 」の中でも、工事監督業務に関係する共通ルールで特に大事な項目は次の6つです。

  1. 国土交通省「発注者支援業務共通仕様書」とは
  2. 管理技術者の役割と業務の範囲
  3. 管理技術者と担当技術者の適正配置
  4. 計画書の作成と成果物の提出が必要
  5. 発注者支援業務の再委託について
  6. 担当技術者は工事受注者に対して指示または承諾をしてはいけない

今回は、前編として管理技術者の役割と業務の範囲、適正な配置について解説します。

発注者支援業務で働くなら必ず知っておくべき内容ですので、ぜひご覧ください。

国土交通省「発注者支援業務共通仕様書」とは?

国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書 」とは、国土交通省の各地方整備局(関東地方整備局など)が発注する土木工事等での発注者支援業務での共通ルールを示したものです。

発注者支援業務には工事監督、積算、許認可など様々な業務がありますが、すべての業務に共通したルールです。

発注者支援業務共通仕様書は、以下の記載のように工事監督業務に関係する共通ルールを記載されているものです。

発注者支援業務共通仕様書は、国土交通省関東地方整備局(港湾空港関係を除く。)の発注する土木工事等に係る発注者支援業務に係る契約書及び設計図書の内容について、統一的な解釈及び運用を図るとともに、その他の必要な事項を定め、もって契約の適正な履行の確保を図るためのものである。

国土交通省関東地方整備局│発注者支援業務共通仕様書(R4.4.1以降に契約締結の業務に適用)

このように発注者支援業務に関する共通ルールを記しているものが「発注者支援業務共通仕様書」です。

管理技術者は一定の権限を行使することができる

発注者(国土交通省)が建設コンサルタントの責任者である管理技術者に委任できる事項は決まっています。

発注者支援業務共通仕様書の中に「管理技術者に委任できる権限は、契約書第10条第2項に規定した事項とする」と記載され、契約書第10条第2項は、具体的には以下のような内容です。

第10条 第2項
管理技術者は、この契約の履行に関し、業務の管理及び統轄を行うほか、業務委託料の変更、履行期間の変更、業務委託料の請求及び受領、第 14 条第1項の請求の受理、同条第2項の決定及び通知、同条第3項の請求、同条第4項の通知の受理並びにこの契約の解除に係る権限を除き、この契約に基づく受注者の一切の権限を行使することができる。

国土交通省近畿地方整備局│土木設計業務等委託契約書

工事における「現場代理人」は契約した工事会社の社長の代理人として、大概の場合は契約に関する一切の権限を持ちます。

同じようなポジションが監理技術者となっており、工事監督業務を建設コンサルが受注すれば建設コンサルとしてほとんどの権限を持つのが監理技術者となります。

監理技術者は指揮命令を出す業務を行うだけでなく、例外もありますが基本的業務の権限を会社の代表として持っています。

そのため、監理技術者は一定の権限を持って行使することができます。

担当技術者に指揮命令を出すのは管理技術者のみ

共通仕様書では以下のように「指揮命令を出すのは必ず管理技術者でなければならない」と規定されています。

そのため、「国土交通省の職員は指示を出して仕事をしてはいけない」と明確に示されていることとなります。

第1005条 管理技術者 第3項

管理技術者は、第2002条、第3002条、第4002条に示す内容について担当技術者が適切に行うように、指揮監督しなければならない。

国土交通省関東地方整備局│発注者支援業務共通仕様書(R4.4.1以降に契約締結の業務に適用)

また、管理技術者は以下のように、管理技術者としての業務をしながら技術者として実務はできないとも規定されています。

そのため、国土交通省の管理技術者は、例えば○○河川事務所で1件、○○砂防事務所で2件のように、複数の案件を同時に抱えることになりやすいです。

第1005条 管理技術者 第7項

管理技術者は、担当技術者を兼ねることはできない。

国土交通省関東地方整備局│発注者支援業務共通仕様書(R4.4.1以降に契約締結の業務に適用)

一方で、NEXCOであれば、管理技術者と担当技術者の兼務は可能となっており、国土交通省とNEXCOでの大きな違いです。

なお、以下の記事で「なぜ役所の職員から支持を受けて仕事をするのが違法か」について、詳しく解説しています。

発注者支援業務は役所の職員から仕事の指示を受けると違法に?その理由とは

2023.09.09

管理技術者及び担当技術者として配置してはいけない人とは?

発注者支援業務で工事監督業務をする場合、第1007条第1にて「管理技術者及び担当技術者を定めるときは、当該業務の対象となる工事の受注者と、資本・人事面において関係がある者を置いてはならない」と規定されています。

そのため、受注会社が監督業務の会社に出向者をだしており、その現場の管理技術者や担当技術者をその出向者に担当させることはできません。

  • 管理技術者:担当技術者へ指示命令を出す人。
  • 担当技術者:実務をする人。受注者の工事を検査・確認する。

ノウハウを得ること等を目的に人事交流・出向は会社間でよくあることですので、受注者と関係のある人を配置しないように注意しましょう。

打合せは調査職員と管理技術者で行う

打合せは、調査職員(=役所の職員)と管理技術者で行い、調査職員と担当技術者が打合せをするようにとは共通仕様書に記載はありません。

なぜなら、前項のように担当技術者への指揮命令は役所の職員ではなく、管理技術者からである必要があるためです。

第1009条 打合せ等 第1項
業務を適正かつ円滑に実施するため、管理技術者と調査職員は常に密接な連絡をとり、業務の方針及び条件等の疑義を正すものとし、その内容についてはその都度受注者が書面(打合せ記録簿)に記録し、相互に確認しなければならない。

国土交通省関東地方整備局│発注者支援業務共通仕様書(R4.4.1以降に契約締結の業務に適用)

なお、管理技術者が役所に打合せで足を運ぶのは月2回ほどで、NEXCOと違って常駐することはありません。

まとめ

今回は、国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書 」で規定されている工事監督業務に関係する共通ルールについて解説しました。

どの現場であったとしても共通認識とされる最低限のルールですので、発注者支援業務で働くなら必ず知っておきましょう。

この記事の続きは以下の記事で、発注者支援業務での計画書の作成や成果物の提出の有無、発注者支援業務の再委託は可能かどうかなどについて解説します。

担当技術者は業者に指示してはいけない!国土交通省の「発注者支援業務共通仕様書」を解説【後編】

2024.02.03

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