発注者支援業務で業者や国土交通省への適切な対応方法とは?好事例集から解説【前編】

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国土交通省 関東地方整備局 千葉国道事務所にて、「受発注注者相互の信頼関係の構築に向けて(令和4年6月)」という工事における受注者アンケートから現場の好事例をまとめた冊子を公開しました。

本事例は、発注者支援業務の「工事監督支援業務」において、「こう対応すれば業者とスムーズに仕事ができた」というような事例を紹介したものです。

国土交通省と受注者の間に立つのが発注者支援業務の仕事であり、発注者支援業務(工事監督支援業務)の好事例も紹介されております。

今回は、本冊子で紹介されている発注者支援業務に関しての好事例を5つ解説します。

前編
  • 事例①:設計条件についての具体的な助言
  • 事例②:書類作成に関するアドバイス(1)
  • 事例③:書類作成に関するアドバイス(2)
  • 事例④:若手技術者の育成
  • 事例⑤:経験者のアドバイス(共同溝工事)
後編
  • 事例⑥:現場工程に沿った現場立会
  • 事例⑦:工事書類のスリム化に向けた協力
  • 事例⑧:協議結果に対する速やかな対応
  • 事例⑨:書類のチェック

発注者支援業務で働くなら必ず知っておくべき内容ですので、ぜひご覧ください。

「受発注注者相互の信頼関係の構築に向けて」の冒頭文を解説

受発注注者相互の信頼関係の構築に向けて(令和4年6月)」の冒頭には以下の記載があり、国道事務所でも良好な関係が築けていない場面があることを認識していることがわかります。

各現場において、より良いものを決められた工期に完成させるべく受発注者の双方が一丸となって努力することが大切だと考えています。

そうした中、当事務所の管内でも、受発注者間で良好な信頼関係が構築できていない現場があり、その理由には、監督員の心ない一言や発注担当の技術力不足などがあると認識しています。

発注担当とは一般的には工事の積算・発注を担当する国土交通省の工務課を指していると考えられ、技術力不足があると自ら認識していることもわかります。

こうした国土交通省が謝罪のような形で認めていることは時代の変化を感じます。

また、工事の遅延や度重なる契約変更から国土交通省の工事を敬遠する風潮に繋がってしまっている部分もあることを示唆しています。

また、双方のコミュニケーション不足が影響し、工事の遅延や度重なる契約変更が積み重なった結果、国発注の工事は敬遠したい、との声にも繋がっている部分もあると聞いています。

しかし、このような課題もある中で、その中でも”よかった”と感じる21事例を紹介しているのが本冊子となっています。

一方で、双方の前向きな議論の結果、お互い納得のいく成果に繋がったとの嬉しいお話を頂いたこともあり、そうした声が監督員の励みにもなっているものと認識しています。

このため、相互の良好な信頼関係を構築し、業務改善につなげ、よりよいインフラ整備・管理ができるよう、常陸河川国道事務所・久慈川緊急治水対策河川事務所での先行事例を参考に、「各現場で望まれる技術者や技術力」について受注者の方々の声を改めてお聞きすることとしました。

この冊子は、これまでに経験された千葉国道事務所の工事に関し、職員の現場指導や技術力、専門知識、人間性が感じられたエピソードなどを、無作為抽出した受注者の方々にアンケートし、寄せていただいたものをまとめたものです。

事例①:設計条件についての具体的な助言

現場技術員(=発注者支援業務の担当者)に相談をして助言をもらったことをきっかけにうまくいった事例となります。

計画図を作成中に「どうしようと…」と受注者が悩んでいた時に、現場技術員に相談したところ具体的に様々な助言をしてくれたというものです。

■エピソード 交差点の安全対策を行う工事で施工用計画図を作成する必要があり、その進め方に受注者は悩んでいた。

思い切って現場技術員に相談したところ、雨水の処理の流下方向に関する提案や、水抜き用の歩車道境界ブロックや導水パイプを利用するといった具体的な内容の助言をもらったことがきっかけとなり、工事を前向きに進める意欲が出て無事竣工し、満足のいくものができた。

■背景 現場の施工区間は縦断勾配が緩く、新設予定の右折車線は左右に分離帯が設けられる計画で、既存舗装との取り合いや雨水滞水を考慮し、信号の移設位置、舗装構成、施工ステップ等を関係者との調整結果に基づいて作業を進める必要があった。

また、存在する道路断面図は標準図程度で、計画平面図と現地構造物に相違があるなどの状況であった。

以下の国土交通省コメントの通り、施工者にとって国土交通省の職員も発注者支援業務の担当者も同じ発注者側となるので相談がし辛いと感じることがあるため、相談してもらった方が現場がうまくいくというものです。

役所側のコメント

  • 施工者は相談したい事があっても、聞いてもよいものかためらい悩んでしまう場合もある。日頃から何でも相談できる関係づくりに心懸け、相互に協力して円滑な施工を目指そう。
  • 発注者においても、条件明示が漏れていないか気をつけたい。

このことから、発注者支援業務の仕事は発注者側(国土交通省側)の立場となることも多いため、尊大な態度でなく業者に接することが重要です。

事例②:書類作成に関するアドバイス(1)

現場技術員が業者の方に寄り添って協力することでうまくいった事例となります。

この工事業者の代理人は、代理人としての初めての工事であり書類のフォーマットも違うために手探りで困っていました。

その時に現場作業員が参考資料等を見せてくれてサポートしてくれたというものです。

■エピソード 工事書類の作成にあたり、現場技術員がポイントを示してくれたので非常に助かった。

また、参考として他工事の作成例なども提示してもらえたのもわかりやすくてとても参考になり良かった。

■背景 現場代理人として初めて担当した工事。

不慣れで、工事打合せ簿や設計照査資料の書類作成の時、他事務所と作成方法が違った。

事例③:書類作成に関するアドバイス(2)

事例②と同じく、現場技術員が業者の方にわからないことを寄り添って教えてあげたことでうまくいった事例となります。

国の工事と県・市の工事で施工方法に大差はありませんが、書類や打ち合わせなどのフォーマットは大きく違うことが少なくありません。

そのため、この事例のように今まで県・市の工事をしている中で国の工事に携わると戸惑ってしまうことがあります。

■エピソード 千葉国道事務所発注の工事を初めて担当したが、工事打合せ簿や関係機関協議資料といった工事書類の作成において、情報共有システムの活用や道路協議などわからない事が多く困っていた。

不明な点を現場技術員に電子メールや電話で相談したところ、速やかに回答してもらい非常に助かった。

■背景 これまで県・市や民間の工事を主に担当しており、国の工事を担当するのは久々で、千葉国道事務所の発注工事を今回初めて担当した。

工事関係書類の作成関係についてわからないことが多く、社内の同僚などに聞いても経験者がいなかったり、打合せの時間が合わずに困っていた。

事例④:若手技術者の育成

現場技術員が若手を指導する際に怒らずに丁寧に教えてあげたことでうまくいった事例となります。

現在、建設業界は高齢化が進んでいるため、若い人を起用すると点数が高くなることがあります。

そのため、現場代理人のポジションに業者側は若い人を起用しましたが経験が浅く至らない点もあった中で、現場技術員が怒らずに丁寧に教えてくれたというものです。

■エピソード 現場代理人に若手技術者を配置した。

現場で初めて経験することが多々あったが、工事打合せ簿等の書類の作成や現場での立ち合い方法などについて、現場技術員から怒らず丁寧に教えてもらい育ててもらった。

とても参考になり感謝している。他工事でまた一緒に仕事をしてみたい。

■背景 総合評価の「若手技術者(35歳以下)の活用及び資格」に伴い、現場代理人に若手技術者を配置したケース。

若手技術者は民でも官でも貴重な人材で大切な戦力。道路行政の推進、建設業界の将来のためにも活躍出来る技術者に育成したい。

業界全体として高齢化が進んでいるため、こうした若い世代を育てるという姿勢は大事です。

事例⑤:経験者のアドバイス(共同溝工事)

現場技術員が初めて工事する業者に対して教えてあげたことでうまくいった事例となります。

事例②③と同じように、「道路の工事はよく行っているが共同溝は初めて」という業者は多く、そうしたときに丁寧に教えてあげることが重要というものです。

■エピソード 共同溝工事を担当することに。現場は、複数年に渡り同様の工事が計画的に継続して発注・施工されている様な状況であった。

この工事担当の現場技術員は、共同溝の工事を数多く担当してきたベテランの経験者で、工事初期の他企業等との管理地使用の手続きや、近接施工に関する協議のポイントを惜しみなく丁寧に教えてくれた。

この現場技術員からのアドバイスがあったお陰で、現場施工における悩みも減り、非常に助かった。

■背景 受注者は共同溝工事を担当してまだ経験が浅く、施工に係わる手続きや協議などはまだ担当したことが無く、ひと通り全てのことを経験・把握出来ていなかった。

業界全体として高齢化が進んでいるため、こうした若い世代を育てるという姿勢は大事です。

まとめ

今回は、国土交通省 関東地方整備局 千葉国道事務所の「受発注注者相互の信頼関係の構築に向けて(令和4年6月)」での発注者支援業務に関しての好事例を解説しました。

国土交通省だけでなく発注者支援業務に従事する人も必ず押さえておくべき内容です。

この記事の続きとして以下の記事で、そのほかの事例についても解説します。

発注者支援業務で意識すべき対応とは?現場に寄り添った立会など好事例集から解説【後編】

2024.05.11

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