【工事監督業務】は資料作成が多い?どんな資料を作成するのか解説

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発注者支援業務工事監督支援の仕事とは?4つに分けて徹底解説!

2022.05.26

 

本記事では、発注者支援業務”工事監督支援業務”の仕事内容を詳しく解説します。

国土交通省の資料によると、工事監督支援業務の仕事は大きく4つとされています。

  1. 工事の資料作成
  2. 施工状況の照合
  3. 地元及び関係機関に対する資料作成
  4. 検査などへの臨場

そして『1. 工事の資料作成』の中でも次の4種類の業務があります。

  1. 受注者に対する指示・協議に必要な資料作成
  2. 受注者から提出された承諾・協議事項の照合
  3. 設計図書との不一致に関する確認と資料の作成
  4. 設計変更に関する資料の作成

1と2はすでに前記事で説明しました。

今回は『3. 設計図書との不一致に関する確認と資料の作成』から解説します。

1. 設計図書との不一致に関する確認と資料の作成

“設計図書との不一致”とは、図面と現場との違いを指します。

国土交通省の資料では6パターンの違いがあるとされています。

  1. 設計図書と現地が一致しない場合
  2. 設計図書の間違い・漏れ
  3. 設計図書の表示が明確でない
  4. 工事現場の形状・地質などが設計図書に示された施工条件と一致しない場合
  5. 設計図書で明示されていない施工条件について予測することのできない特別な状態が生じた場合
  6. 工事を一時中止しなければならない場合

それでは順に説明します。

①設計図書と現地が一致しない場合

”図面と現場が一致しない場合”とは、たとえば道路の舗装工事をする際、図面では「100mを工事しなさい」と記載されているのに、現地を確認すると102mあったような場合を指します。

受注者(施工業者)からこのような報告があった際、現地へ確認をしに行くのが発注者支援業務の仕事です。

②設計図書の間違い・漏れ

“設計図書の間違い・漏れ”とは、平たく言うと設計ミスのようなものです。

過去に経験した例では、堤防の図面に記載された数値が、現場で確認するとまったく違うといったことがありました。

こちらもだいたい受注者(施工業者)から報告があるので、その場合は発注者支援業務がチェックを行います。

③設計図書の表示が明確でない

“設計図書の表示が明確でない”とは、図面上で必要な情報が確認できない状態を指します。

道路工事を例にすると、両端の寸法は明記されているが、真ん中の寸法がきちんと明記されていないといったケースのことです。

④工事現場の形状・地質などが設計図書に示された施工条件と一致しない場合

“工事現場の形状・地質などが一致しない場合”とは、たとえば掘削時に岩が出てきたり、地盤が軟弱だったり、施工条件で明示されていない事柄が発生したときを指します。

こういった場合も確認を行うのが発注者支援業務の仕事です。

⑤設計図書で明示されていない施工条件について予測することのできない特別な状態が生じた場合

“予測することのできない特別な状態”とは、施工条件を記載する際には予測できなかった突然のハプニングなどを指します。

たとえば工事期間中にイベントが開催され、通行止めで工事用車両の出入りができなくなってしまった場合などです。

⑥工事を一時中止しなければならない場合

“工事を一時中止しなければならない場合”とは、工事が進められないほどイレギュラーな状態に陥ったときを指します。

たとえば掘削時に水が湧き出して施工不能に陥った場合や、想定外の埋設管が出てきて、水道管かガス管か判断がつかない場合などです。

そこに構造物を作らなければならない場合、当然その問題を解決しなければなりません。

このような報告を受注者(施工業者)から受けたら、発注者支援業務は現地に行って状況確認、図面確認を行い、必要に応じて解決のための資料作成を行います。

施工条件とは

施工条件とは、施工における自然条件・社会条件・施工時期など、工事に係るさまざまな条件のことです。

諸条件は工事ごとに異なるため、あらかじめ設計図書に明示し、皆で共通認識を持つことで工事の円滑な遂行を図っています。

国土交通省の資料では、次のような明示項目が設けられています。

  • 工程関係
  • 用地関係
  • 公害関係
  • 安全対策関係
  • 工事用道路関係
  • 仮設備関係
  • 建設副産物関係
  • 工事支障物権等
  • 薬液注入関係
  • その他

施工条件は契約条件とも捉えられます。
よって、明示された条件に変更が生じた場合は、契約約款の関連する条項に基づき、適切に対応しなくてはいけません。

2. 設計変更に関する資料の作成

最後の資料作成業務は、設計変更に関する資料作成です。

たとえば”図面では施工範囲が100mと明記されていたが、実際は102mあった”場合を例にすると、2m分をプラスした資料を作らなければいけません。

この場合の資料作成では「2m伸ばすと舗装面積は何㎡増えるか?」といった数量も算出する必要があります。

また変更に際して受注者側から受ける提出・報告物もチェックしなければいけません。

以上が、設計変更に関する資料作成の仕事です。

3. 施工状況の照合

工事監督支援業務の2つ目の仕事は、施工状況の照合です。

施工状況の照合とは、要するに現地で確認をする作業のことです。

工事監督業務の1つ目の仕事、資料作成においても現場確認作業はありましたが、あちらはあくまでイレギュラーな場合です。

今回は通常時の工事のチェックということになります。

施工状況の照合には大きく分けて3つのパターンがあります。

  1. 材料確認
  2. 段階確認
  3. 状況把握

それでは順に説明します。

①材料

材料の確認は非常にシンプルです。

発注者支援業務は設計段階で指定されている材料が実際の工事できちんと使われているかを確認します。

②段階確認

段階確認は、あらかじめ定められたタイミングで確認作業を行うことです。

たとえば鉄筋→型枠→コンクリート打設の工程でいうと、鉄筋が組み上がった段階で鉄筋がちゃんと組まれているかどうか配筋確認をすることが決まっています。

コンクリートを打ってしまうと見えなくなってしまうので、必ず打ち込む前に確認を行うのですね。

これが”段階確認”です。

もう1つ例をあげると、構造物の埋め戻しがあります。

たとえば護岸工事の基礎部分にあたる笠コンクリートなどは埋め戻してしまうので、隠れて見えなくなってしまいます。

それではきちんと基礎工事が行われたのか確認ができないため、段階確認は必ず埋め戻し前に行われます。

鉄筋→型枠→コンクリート打設の工程について

鉄筋コンクリートの建物を建造する際は次のような工程があります。

① 骨格部分として、鉄筋や鉄骨を組み合わせる

② 出来上がった骨格を囲うようにして型枠を作る

③ 型枠に生コンクリートを流し込む(体躯の完成)

型枠工事は建物全体に影響を及ぼすため、非常に重要な工程です。

配筋確認とは

そもそも配筋とは、工事にあたって鉄筋コンクリートを配置すること、鉄筋コンクリートを組み立てることです。

現場では「柱の配筋をする」といった使われ方をします。

鉄筋コンクリートは、それが柱に使われるのか、梁(はり)に使われるのか、部材によって配筋の方法が異なります。

また、配筋を行う際は等間隔で鉄筋を割りつけることとされています。

よって配筋確認では、適切な配筋方法で、きちんと等間隔を守って配筋されているかをチェックします。

埋め戻しとは

埋め戻しとは、構造物の基礎を建てるために掘削した部分を元の状態に戻すことです。

工事では通常、最初に土を30cm以上掘削して、基礎を構築します。

基礎が完成すると、周囲の地盤が低いままになっているので、元の高さになるよう土を戻し、しっかりと突き固めます。

埋戻しに使用される土は原則、良質土ですが、国土交通省の資料によると、受注者は仕様書に定めた土質のものを用いなければならないとされています。

護岸工事と笠コンクリート

護岸工事とは、河川の堤防を補強し、浸食や崩壊を防ぐための工事です。

護岸工事が施された堤防は主に、堤防に沿ってコンクリートが並べられているような外見をしています。

また笠コンクリートとは、護岸工事で矢板を建てた後に、頭から被せるようにして打設するコンクリートのことです。

③状況把握

状況把握とは、実際に施工している現場の状況を確認することです。

前述の段階確認は”特定の時点で確認すること”で、コンクリートを打つ前の配筋確認や、埋め戻しをする前の基礎工事の確認などが該当します。
つまり段階確認は、ある種”成果物の確認”とも言えます。

一方、状況把握は”状況の把握”なので、生コンクリートの打設時であれば、「きちんとバイブレーターをかけてやっているか?」「土砂降りの日に施工していないか?」などの確認をすることが業務となります。

たとえば「盛り土を1m行う」という工程があるとしたら、1m完成した時点で確認するのが”段階確認”、ちゃんと30cmずつ行っているか確認するのが”状況把握”です。

状況把握にも把握すべきタイミングはあらかじめ設定されており、一覧表もあります。

ここまで説明した材料の確認・段階確認・状況把握の3つを行うことが、工事監督支援業務の”施工状況の照合”です。

コンクリートバイブレーターとは

コンクリートバイブレーターとは、まだ柔らかい状態の生コンクリートに差し込んで使う、振動を与えるための機械です。

現場に運び込まれた時点のコンクリートには大小さまざまの気泡が含まれています。

コンクリートバイブレータを使うと、この余分な気泡を逃がすことができる上、コンクリートの骨材となる砂や砂利をより馴染ませ、コンクリートの強度を高めることができます。

なぜ土砂降りの日にコンクリート打設をしてはいけないのか?

コンクリートは必要強度を保証するために、水とセメントの割合が計算されています。

そのため、コンクリートの打設時に土砂降りに遭うと、水の割合が増えてしまい、仕上がりが軟弱になってしまう恐れがあるのです。

しかしコンクリートに含まれる水の量は大量のため、少々の雨では影響が出ないケースの方が多いです。

この理由から本文であえて”土砂降りの日”と記載しました。

4. 地元・関係機関に対する資料作成

工事監督支援業務の3つ目の業務は、”地元および関係機関に対する資料作成”です。

“地元”とは、現場の近隣住民のことです。

工事をすることで影響がありそうな近隣住民にはあらかじめ説明をする必要があるため、そのための資料作成を行います。

ポイントは、一般人でもわかりやすい図面や資料を作ることです。

それから”関係機関”というと、大体は自治体のことを指します。

たとえば国道の工事を行う場合、交差している道路が”市道”であれば、通行止めにするのかか、迂回にするのかといったさまざまな調整を市と行うことが必要になります。

その調整を自治体や関係機関と行うために必要な資料を作成するのが工事監督支援業務の仕事です。

5. 検査などへの臨場

工事監督支援業務の最後の業務は、”検査などへの臨場”です。

平たく言うと、中間検査や完成検査のことです。

前述の”状況把握”や”段階確認”とはまったくの別物で、当然、この検査が最上位の確認作業となります。

よって、状況把握や段階確認は発注者支援業務の人で済ませる場合もありますが、検査は基本的に”発注者”である役所の人が行います。

発注者支援業務の仕事は検査に臨場し、役所の人の補佐的な業務を行うことです。

工事における”臨場”の意味とは

臨場はそもそも「その場所に臨むこと」という意味を持つ言葉ですが、工事現場の用語としては「施工現場へ赴くこと」を意味し、施工の段階や仕様通りの材料を使用しているかの確認、立会いを行うこと等を含みます。

現在はWeb カメラ等による映像と音声の双方向通信を使用して、段階確認・材料確認・立会いを行う”遠隔臨場”も普及され始めています。

まとめ

ここまで2記事に分けて、発注者支援業務”工事監督支援業務”の具体的な仕事内容について説明しました。

最後に主な工事監督支援業務の主な仕事内容とその種類を表にまとめます。

工事監督支援業務の4つの仕事 種類
工事の資料作成 受注者に対する指示・協議に必要な資料作成
受注者から提出された承諾・協議事項の照合
設計図書との不一致に関する確認と資料の作成

① 設計図書と現地が一致しない場合

② 設計図書の間違い・漏れ

③ 設計図書の表示が明確でない

④ 工事現場の形状・地質などが設計図書に示された施工条件と一致しない場合

⑤ 設計図書で明示されていない施工条件について予測することのできない特別な状態が生じた場合

⑥ 工事を一時中止しなければならない場合

設計変更に関する資料の作成
 

施工状況の照合

材料確認
段階確認
状況把握
地元及び関係機関に対する資料作成
検査などへの臨場

 

この記事の内容は以下の動画で解説しています。

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