BIM/CIMになると実際にどんな変化がある?詳しく解説します!
この記事は以下の記事の続きです。
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国土交通省では、2023年よりすべての詳細設計・工事においてBIM/CIMを原則適用することを発表しています。
発注者支援業務においてもBIM/CIMの習得は必須となるでしょう。
しかし、BIM/CIMで何がどう変わるのか、実際のイメージが湧かないとなかなか学ぼうという気にもなりませんよね。
そこで今回は、BIM/CIMが導入された場合の変化をまとめました!
CADとBIM/CIMの違いについても記載していますので、ぜひご覧ください。
1. BIM/CIMの図面の変化(見た目編)
BIM/CIMが適用される際に最も大きく変わるのは、図面が2次元から3次元になることです。
これまでの2次元の図面では、橋や道路、堤防においても、次の3図面を基にすることが基本でした。
- 上から見た図面
- 側面から見た図面
- 正面から見た図面
しかし、3図面から立体をイメージすることはなかなか難しいものです。
よって、専門の人間でなければ、2次元の図面から完成型をイメージすることは困難という一面もありました。
一方、BIM/CIMの図面は3次元で描かれるため、おおよその人が設計の段階から全体の仕上がりをイメージしやすくなります。
BIM/CIMの図面は、分譲マンションのチラシに載っている”完成予想図”のようなものだと考えてください。
建設業界ではパースとも言います。
新築マンションは通常、工事中に分譲を開始しますが、人からすればどんなマンションが建つのかわからないまま購入を決めることはできませんよね。
そこで、建物の全体像がイメージできる完成予想図がチラシに掲載されているのです。
その完成予想図にBIM/CIMの図面が近いということは、2次元の図面よりいかに立体的なものか、想像がつくと思います。
2. BIM/CIMの図面の変化(作図編)
BIM/CIMの図面が2次元にものに比べ、圧倒的に立体的であることがわかりました。
しかし、3次元の図面を描くには、一体どのような作業をするのでしょうか?
従来のCADであれば、上・側面・正面から見た3図面を作成するため、作業は基本的に”線を引く”というイメージでした。
一方、BIM/CIMは、小さな立体のパーツをたくさん組み立てて、1つの構造物を描いていくような作業になるため、平たく言うと、”レゴブロックを組み立てる”イメージになります。
たとえばマンションの一室の作図で、窓を描くとしましょう。
CADであれば、所定の位置に線を4本描いて”窓”としていました。
イラストを描く場合と同じですね。
一方Revit(レビット)と呼ばれるBIMツールで作図すると、あらかじめ”窓”というパーツがあるため、それを図面の中に配置するような形になります。
これは柱の場合なども同様で、Revitではそういったパーツやオブジェクトを組み上げ、画面上に構造物を作り上げるような作業を行っていくのです。
Revitでは、作図する際に用いる壁や柱、窓などの部品のことを”ファミリ”と呼んでいます。
各ファミリには、材質や数量、カラー、価格などの情報が含まれており、たとえば柱の体積や壁の材質といった情報がすぐにチェックできるようになっています。
Revitのファミリの一例は次の通りです。
- 壁
- HVAC(暖房、換気、および空調)
- 建設(手すり、天井、タラップなど)
- ファブリック
- 家具(インテリアアート、椅子・ベンチ、フックなど)
- 防火設備
- 建築資材(ガラス、シート材、塗料など)
- キッチン(キッチンキャビネット、蛇口・混合栓など)
- 照明
- ドア
- エレクトロニクス(家電・電気製品など)
- 床材
- ランドスケープ・景観(フェンス、ストリートファニチャーなど)
- サニタリー(ハンド&ヘアードライヤー、浴室アクセサリーなど)
- 窓
これまで述べた通り、BIM/CIMの作図は、従来とまったく異なる作業になります。
よって、完成図がイメージできていないと作図が進まない面もあり、たとえCADの経験者でも「難しい」と感じることが多いようです。
CADの操作では空間把握能力が重要とされていましたが、BIM/CIMでは立体把握能力が重要になってくるかと思います。
空間把握能力とは、物の大きさや形状・位置関係などを素早く正確に認識できる能力のことです。
2次元の図面であっても、頭の中で完成イメージを想像できることから、CADの作図において重要な能力とされています。
一方、立体把握能力とは、対象物を立体的に把握できる能力のことです。
デッサンや3Dモデリングが得意な人は立体把握能力が高いと言われており、まさにBIM/CIMの操作に必要な能力となります。
CADとBIM/CIMでは、同じ作図という作業であっても、求められる能力がこのように異なってくるのですね。
発注者支援業務におけるBIM/CIMの重要性
公共工事の場合、もともとの設計図は建設コンサルタントが作成します。
しかし、工事を発注する際はぶつ切り発注を行うため、発注者支援業務は、設計図から工事個所を部分的に取り出さなくてはなりません。
そこでBIM/CIMの設計図が上がってきていたとしたら、当然、発注者支援業務もRevitなどのBIM/CIMツールを操作できるようになっていなければ、業務が進まないということになります。
ぶつ切り発注とは、工事を分割して発注する方式のことです。
“分割発注”とも呼ばれています。
公共工事では、技術力や実績をもとに業者をランク付けし、上位の業者に工事を発注するのが一般的です。
しかし1kmの道路工事を100mに分割して発注すれば、上位の業者だけでなく、より多くの建設業者が仕事を受注できるようになります。
よって、公共工事の分割発注は、中小企業者の仕事の受注確保を目的として行われている部分が多くあります。
さらに、現場で設計変更などがあった場合は、発注者支援業務が図面を修正しなくてはならないこともあります。
それはすなわち、BIM/CIMのデータ修正が必要ということであり、こちらもツールが操作できなければ到底業務は行えません。
国土交通省では現状、大型工事でしかBIM/CIMを導入していませんが、来年以降は本格的な適用の流れがくるはずです。
工事業者も発注者支援業務も、それまでにBIM/CIMの操作方法などを覚えておくのが望ましいでしょう。
まとめ
今回は、BIM/CIMが実際に導入された場合、どのような変化があるのかを具体的に解説しました。
ポイントは次の通りです。
- BIM/CIMの図面は、より立体的で、”完成予想図”に近いものになる
- BIM/CIMの作図工程は、レゴブロックを組み立てていくイメージに近い
- 発注者支援業務も工事業者も、BIM/CIMの習得は必須
建設・土木業界におけるBIM/CIM導入の影響は、社会にパソコンが導入された時代と近しいものがあります。
現代は、パソコンが使えなければ仕事にならないように、近い将来、BIM/CIMが使えなければ発注者支援業務も仕事にならない時代が訪れるはずです。
BIM/CIMについては「大変だ」「難しい」とさまざまな声が上がっていますが、ここは腹を括ってやっていきましょう!
そして、BIM/CIMの導入については、次なる国土交通省からの要求”リクワイヤメント”もあります。
こちらは次の記事で解説しますので、ぜひチェックしてみてください。
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