建設コンサルタントの保険証を持つために転籍や出向するのは違法?
今回は、視聴者さまからいただいたご質問のコメントに回答します。
派遣会社に勤務している者です。
発注者支援業務は人材派遣できるのでしょうか?
私のイメージでは、建設コンサルタントに所属(社員or契約社員)していないといけないと思っているので、「”健康保険関係”は派遣会社ではなく、支援している期間は建コンに転籍しないといけないのでは?」と思っております。
そのあたりがグレーなので、実際はどうなのかご教示をお願い致します。
この質問は業界でよくある課題ですので、ぜひ最後までご覧ください。
発注者支援業務は人材派遣でも問題ない
発注者支援業務は人材派遣でも、合法のため問題ありません。
国土交通省やNEXCOも派遣として働いていることは承知しており、書類上でも証明されているため派遣でも問題なく従事できます。
株式会社ライズでも建設コンサルタントへの派遣を実施しております。
しかし、”転籍”や”出向”として建設コンサルに派遣されて働く場合、派遣先の建設コンサルから派遣元の会社へ何らかの手数料が支払われるような「人が動くことで会社間で損益が発生する場合」は、派遣法に違反する場合があります。
発注者支援業務で働く人が建設コンサルに”出向”や”転籍”として派遣されるケースはよくありますが、実は違法な派遣をしている企業も少なくありません。
違法な”転籍”や”出向”が広まった背景を理解する前に、まずは成り立ちを理解しよう
「なぜ転籍や出向といった違法なことをしているのか」は、発注者支援業務の成り立ちと大きく関わっています。
まず、発注者支援業務の始まりは、発注者支援業務という業務のボリュームが出てきて業界人から認知されてきた”昭和の終わり頃から平成初期にかけて”と言われています。
発注者支援業務が民間の仕事として始まった際、発注者支援業務は建設コンサルしか受注できず、ゼネコンや建設会社が受注できないものでした。
発注者支援業務の主な業務は「工事監督支援業務」という施工の監督・検査・確認をするものです。
しかし、建設コンサルのメイン業務は設計であり、発注者支援業務には「1級または2級の土木施工管理技士」が必要であるために、建設コンサルがこうした業務を行うのが難しいという課題に直面しました。
そのため、大半の建設コンサルに”施工管理技士”がいないので外部から借りる必要があり、建設コンサルから人材を外注し、工事監督に従事する人の給料は外注先の会社が支払うという流れが常態となりました。
コンプライアンスを重視する流れで建設コンサルへの転籍が必要になった
このように外注での形で実施してましたが、段々とコンプライアンスを重視する気運が高まり、「働く人は外注先の人材でなく、建設コンサルの人材でないといけない」という流れになりました。
つまり、国土交通省が工事監督の仕事を建設コンサルに発注するも、実務を行っている人が外部人材ですと”再委託”になってしまうため、「建設コンサルの人間でないのはよくないのでは」という流れになってきたということです。
では、その会社の社員かどうかを証明するものはなにかというと、それは「保険証」です。
そのため、建設コンサルが自社の人間であることを保険証を提示して証明するようになり、派遣される人は外注先企業の保険証だとNGとなるため、建設コンサルへの転籍という流れが一般化しました。
しかし、建設コンサルから転籍者に給料を支払いながら、建設コンサルから転籍元企業にも報酬が支払われる場合は、「派遣法」に引っかかってしまい違法となります。
このような流れで違法な”出向”や”転籍”をせざるを得ない企業が出てきて、それがいまだに残っているものとなります。
まとめ
今回は、工事監督業務でよくある人材派遣が違法な場合と違法でない場合について解説しました。
また、違法なパターンが生まれた背景についても説明しました。
次の記事では、今でも違法な出向・転籍が多い理由を3つ紹介します。
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