違法な給与の「2社払い」は何故なくならない?各当事者ごとのメリットから解説【後編】

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この記事は以下の記事の続きです。

前の記事を読んでいない方は、こちらの記事もご覧ください。

発注者支援業務の「2社払い」とは?仕組みや企業が2社払いする理由を解説【前編】

2024.02.10

発注者支援業務で働く人の中には、転籍先の建設コンサルタントと転籍元の所属企業の2社からお金をもらって働く「2社払い」となることも多いです。

今回は後編として、発注者支援業務で働く社員が2社から給与を貰いながら働く「2社払い」について、違法となる理由や各当事者ごとの意図(メリット)について詳しく解説します。

  • 【前編】「2社払い」の仕組みとは
  • 【前編】なぜ「2社払い」を企業はするのか
  • 【後編】「2社払い」が違法となる理由
  • 【後編】「2社払い」を進める各当事者ごとの意図

発注者支援業務で働くなら必ず知っておくべき内容ですので、ぜひご覧ください。

コンプライアンス上は「2社払い」はNG

「2社払い」はコンプライアンス上はアウトです。

建設コンサルタントに社員を貸し出している所属会社は、社員であるのに雇用契約がなく社会保険にも未加入なため”労働基準法違反”です。

また、実態として報酬を得て人材を派遣しているために派遣法違反です。

実際に「2社払い」が問題となって労基署が入ってトラブルになった会社を見たこともあります。

しかし、以下の記事で解説したように、過去の業界の歴史や現在までの商慣習の流れから今も続いているのは事実です。

建設コンサルタントで今でも違法な出向・転籍が多い理由とは?

2023.11.04

では、なぜ今でも「2社払い」をする仕組みが続いているのでしょうか?

「2社払い」をしてしまう理由について、「建設コンサルタント」「社員の所属会社」「所属社員」の各当事者ごとのメリットの観点から解説します。

なお、株式会社ライズでは、許認可を取得して派遣会社として派遣社員として工事監督業務に従事しているため、問題ございません。

建設コンサルの「2社払い」メリット:人件費が安くなる

建設コンサルタントにとって「2社払い」をするメリットは、月々の費用が安くなることです。

以下のように発注者支援業務で働く人に月50万円を支払う場合で考えましょう。

  1. 「2社払い」をする場合 :協力企業に35万円(協力会社から社員に20万円支払う)、社員に30万円
  2. 「2社払い」をしない場合:協力企業に15万円、社員に50万円

この場合、社会保険料の会社負担額は給与金額に応じて異なるため、その差額分だけコストが低くなります。

「2社払い」をする場合 「2社払い」をしない場合
建設コンサル→協力企業の支払い 35万円 15万円
建設コンサル→社員の支払い 30万円 50万円
建設コンサル→社員の支払いの社会保険料の会社負担額 △5万円 △8.5万円
合計 70万円/月 73.5万円/月

このように建設コンサルタントにとって「2社払い」をすることで、月々の費用が安くなる効果があります。

社員の「2社払い」メリット:手取りを増やすことができる

発注者支援業務で働く実務の社員にとって「2社払い」をするメリットは、月々の手取りが増えることです。

先ほどの例のように50万円をそのまま給与でもらってしまうと、社会保険料85,000円が本人にもかかってきてしまいます。

さらに、所得税も累進課税のために給与が高いほど税率が上がるため、給与が少ないことで所得税も同じように少なくなるために手取りの金額も増えます。

そのため、合わせて月々46,000円手取りが増えることになり、年額換算すると約55万円手取りが増えることになります。

月々の手取り額 「2社払い」をする場合 「2社払い」をしない場合
社員の給与 50万円 = 30万円(建設コンサル:給与)+20万円(所属会社:外注費) 50万円
社会保険料の負担額 △5万円 △8.5万円
所得税 △0.7万円 △1.8万円
合計 44.3万円/月 39.7万円/月

なお、2社払いをする場合は外注費分を確定申告する必要があり、上記の表とは別で所得税等の支払いが発生します。

しかし、2社払いで外注費という形で報酬を貰うことで個人事業主扱いになるため、個人の経費を計上することができ、所得税等を圧縮できるために2社払いをしない場合よりも収入を多くすることが可能です。

社員の所属会社の「2社払い」メリット:社会保険や労災等の対応をしなくて良い

建設コンサルタントに社員を貸し出している所属会社にとって「2社払い」をするメリットは、社会保険や労災等の対応をしなくて良いことです。

所属会社にとっての社員ではないため労災等の対応をする責任がなく、転籍先の雇用契約を結んでいる建設コンサルが行うことになります。

また、自社の社員でなく建設コンサルに転籍させて自社では雇用していないため、社会保険の加入の手続き等を省くこともできます。

このように社員を貸し出している所属会社にとって「2社払い」をすることで、利益だけでなくメリットが多いものとなります。

まとめ

今回は後編として、発注者支援業務で働く社員が2社から給与を貰いながら働く「2社払い」について、違法となる理由や各当事者ごとの意図(メリット)を詳しく解説しました。

「2社払い」は労働基準法や派遣法に抵触するため違法な仕組みですが、今も業界で行われているのも事実です。

しかし、株式会社ライズのように、派遣元が許認可を取得して人材を送り出し、建設コンサルと派遣会社が”派遣契約”をしていれば問題ございません。

実際に株式会社ライズでは、派遣先の建設コンサルタントの保険証を持たずにライズの保険証を所持して、派遣社員として工事監督業務に従事しています。

「いまの自分の働く会社は違法ではないだろうか…」と不安がある方は、ぜひ株式会社ライズという会社もご検討してみてくださいね。

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